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1993年授賞式レポート

1993年(第4回)福岡アジア文化賞授賞式

開催日時
1993年9月3日(金)14:00~15:30
会場
福岡サンパレス
参加者
約700名

1993年(第4回)福岡アジア文化賞授賞式は、福岡サンパレスで行われました。

第4回の受賞者は、大賞が費孝通氏(中華人民共和国)、学術研究賞・国際部門がウンク・A・アジズ氏(マレーシア)、学術研究賞・国内部門が川喜田二郎氏(日本)、芸術・文化賞がナムジリン・ノロゥバンザト氏(モンゴル国)の4名でした。

当日は、戦後最大級の台風13号が接近しつつあり、市内の交通手段が機能を停止するという状況にも関わらず、在日アジア各国大使御夫妻、留学生及び学術・教育・芸術・文化関係者、市民等約700名の参加を得て開催され、受賞者の名誉を称えました。

また、祝曲として、芝祐靖氏による龍笛演奏が行われたほか、芸術・文化賞受賞者のナムジリン・ノロゥバンザト氏によるモンゴル民謡オルティン・ドーの歌唱が披露され、授賞式を盛り上げました。

大賞/費 孝 通(フェイ・シャオトン)氏による受賞者スピーチ

私は謹んで福岡アジア文化賞をお受けします。また、今回賜りました名誉に対して心より感謝申し上げます。私は、これは過去において私の学術研究がアジア文化に貢献したことに対する、福岡市民の皆さんの励ましであると認識しております。同時に、さらに重要なことは、これは中日文化交流を促進するための具体的な行動であるということです。

中日両国は、歴史的に見て悠久なる交流関係をもち、両国の人民はこういった文化の発展を相互に促進する貴重な往来をずっと重視してきました。我々は、中日両国が子々孫々にわたって友好的に共存していくべきだという先人たちの遺訓を忠実に守らなければなりません。

私は、この賞を受賞した喜びと共に、来る21世紀において、アジア各国人民の努力と協力により、我々のアジア文化が全世界、全人類の安定、団結そして繁栄に対してより大きな貢献をするように、心からお祈り申し上げます。

学術研究賞/ウンク・A・アジズ氏による受賞者スピーチ

今日この日のことは、私の生涯で最も幸福な一日として記憶されていくことでしょう。心より、福岡市民そして福岡アジア文化賞委員会の皆様に対し、1993年(第4回)福岡アジア文化賞学術研究賞・国際部門をお贈り下さいましたことに深く感謝いたします。今日のこの出来事を生涯、宝のように大事にしたいと存じます。思えば、私の人生の転機のほとんどは、常に日本と関わっていたようです。

大学時代、私は日本で教育を受けました。青年時代の私の世界観は日本の文化や歴史の影響を深く受けていました。学者となってからは、日本人の学者・知識人の方々との暖かい交流を持つことができました。大学学長としての私は、多くの日本の大学の学長・総長の方々、さらには文部省職員の方々の助言やご協力に大変助けられました。また、マレーシア協同組合連合会会長として、日本の農業協同組合・消費者組合運動の指導者の方々との協力関係からも恩恵を受けました。そして、マレーシアの協同組合の分野の一員として、日本やマレーシアに住む日本人企業家の方々との友好的で有益な関係を保っています。

確かに、戦争が勃発した時、私は生死を分ける現実を意識するようになりました。それは、1941年12月8日の早朝のことで、その時私はシンガポールの大学に在学していました。それから一年もしないうちに、私は門司に到着し、早稲田大学で経済学を学び始めていました。私は日本の歴史に強い興味を抱き、数世紀にわたる英国の植民地支配の搾取にあえぐ祖国の人々にとって、学ぶべきところがあると感じました。過去半世紀の間、日本を度々訪れては触れ、また、世界各地で紹介されている数多くの優れた日本芸術を見て、私は日本文化の様々な側面を愛するようになりました。そして、1989年12月、光栄にも、天皇陛下より勲一等端宝章を賜りました。

衷心より-日本語で「ココロとココロと」、あるいはマレー語で「ダリ ハティ ク ハティ」-感謝の意を表し、次のマレー語のパントゥーン(訳注:マレー詩形。韻を踏む四行詩)を贈りたいと思います。

Pisang emas dibawa belayar,
Masak  sebiji di atas peti;
Hutang emas boleh dibayar,
Hutang budi dibawa mati.

これを訳すと次のような意味になります。

黄金のバナナが航海に出て、
一本が箱の上で熟れる。
金の借りは返せるが、
親切への借りは一生かけても返せるものではない。

ありがとうございました。

学術研究賞/川喜田 二郎氏による受賞者スピーチ

全く思いがけない受賞のお知らせを受け、私は非常に嬉しく存じました。その気持ちは、さまざまな理由によるものです。

まずその対象地域がアジアであったことです。私の青春は、今に至るまでそのアジアという舞台と結びついていました。それで私はそのアジアを愛しています。更に、福岡で頂くことを嬉しく思うものです。この西日本の玄関口は、中国を初め、輝かしい大陸の文明を受け入れてきました。しかしまた南海の荒波を越えて倭人という水界の民の文化の流れをも受け入れてきました。その彼方から私たちはまた、仏教を含むヒンズー文明や西アジアの文明を、そうして後にはヨーロッパの文明を吸収してきたのです。

福岡はこのように大陸の文明と大洋の文明とを仲立ちしてきた場所です。そうして私の血潮の中にも、幾分海賊の流れが入っているかもしれません。その開放的な生命力を、私はむしろ誇らしく自認するものです。

更に「文化」によって賞を頂くことを、喜んでおります。政治や経済も、むしろ文化というもう一次元高い見地から考え直してみること、そういう時代に今われわれは立っているのだと思います。

この名誉ある賞の今までの受賞者が、すばらしい実績に立つ方々であることを知り、私はこの受賞をますます名誉なものとして、御礼申し上げたいと存じます。

芸術・文化賞/ナムジリン・ノロゥバンザト氏による受賞者スピーチ

尊敬する福岡市長様。尊敬する福岡アジア文化賞委員会の皆様。尊敬するご来場の皆様。モンゴル国の歌手である私に、1993年(第4回)福岡アジア文化賞を授与されたことに心から感謝いたします。私がこの福岡アジア文化賞を頂いたのは、私の国モンゴルの芸術文化を高く評価され、敬意を払われていることの表れだと存じます。

アジア諸民族の文化交流や相互理解を発展させる上で、この福岡アジア文化賞は大きな意義を持っています。広大なアジア大陸の文明は、お互いの相違もありますが、同じアジアという共通性においてヨーロッパの文明とは異なっています。アジア諸民族には風俗習慣や宗教、文字の点で似ている、あるいは同じことがたくさんあります。伝統的なアジアの文明は、お互いに大きな影響を与えてきました。この影響の一つの表れは、東洋の音楽や絵画、建築、民族衣装などにおける民族性がお互いに似ていることだと思います。

モンゴルと日本は昔から関係を持っていました。この関係は最近ますます深くなっています。科学文化とその他の交流は広がり、政府レベルの代表団はお互いに訪問し、学者、留学生、観光客の交流または両国間の貿易はだんだん広がっています。日本の音楽はモンゴルで、モンゴルの音楽は日本で開かれるようになりました。私が美しい国、日本に来たのは今回で8回目です。日本の多くの都市を訪問し、モンゴル民族の歌を多くの日本人の耳に届け、多くの友人ができたことを心から嬉しく思います。また、日本民謡を歌えるように現在、勉強しているところです。

日本は科学文化と生産技術の発展で世界でもトップクラスの経済大国だということは、モンゴルでもよく知られています。日本政府と日本国民が我が国の経済と文化を発展させる上でいつも協力して下さっていることに、我々モンゴル国民は非常に満足しています。日本の多くの学者、研究者がモンゴルの歴史、文明の記念物や現代モンゴルの経済、文化を研究しています。両国関係がこれからもますます発展することを信じています。

アジア諸民族が平和的かつ友好的に共存していくようにお祈りいたします。尊敬する皆様、福岡アジア文化賞を頂きましたことに、重ねて、心から感謝いたします。ありがとうございました。

1993年(第4回)福岡アジア文化賞祝賀会

開催日時
1993年9月3日(金)18:00~19:30
会場
ホテルニューオータニ博多「鶴」の間

栄えある4名の受賞者を称える祝賀会が、授賞式に引き続き、会場をホテルニューオータニ博多「鶴」の間に移して行われました。

受賞者御夫妻、在日アジア各国大使館御夫妻、留学生、学術・教育・芸術・文化関係者、市民代表等約400名の参加によるこの祝宴は、アジアの交流拠点都市・福岡にふさわしい、交歓と親睦、相互理解の場となりました。

会場内では、受賞者を囲む歓談の輪が幾重も広がり、受賞者の業績や交流の広さをうかがわせました。

式では、川合辰雄財団法人よかトピア記念国際財団理事長、斉藤恒孝福岡県知事による挨拶、大賞受賞者の国である中華人民共和国の特命全権大使の徐敦信閣下による乾杯が行われました。

また、中華人民共和国新疆ウイグル地方出身のショヒライティ・トルソン氏の歌と演奏が会場の雰囲気を盛り上げました。

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた1993年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

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各種イベントレポート

1993年度の授賞式以外のイベントレポートをご覧いただけます。