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2005年市民フォーラムレポート

2005年大賞受賞/任 東 権(イム・ドングォン)

タイトル
文化のつながりを探る
開催日時
9月17日(土)16:00~18:00
会場
アクロス福岡地下2Fイベントホール
パネリスト
佐野 賢治(神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授)
パネリスト
永松 敦(宮崎公立大学人文学部助教授)
パネリスト
松原 孝俊(九州大学大学院比較社会学府、韓国研究センター教授)
コーディネーター
稲葉 継雄(九州大学大学院人間環境学研究院教授)

韓国民俗学の開拓者であり、東アジア民俗学界の第一人者である任東権氏による市民フォーラムが、9月19日アクロス福岡で開催されました。

第1部:基調講演

基調講演で任氏は、文化は往来しながら、あるものは原形を保ちながら、あるものはその土地の風土にあうように変遷し、その土地に根を張り成立していったと論じ、文化伝播の根源を現在の韓国と日本の民俗文化の事例を交えて解説した。

第2部:パネル・ディスカッション

パネルディスカッションでは、佐野氏は朝鮮半島と日本の地理的特性からみた文化の交流及び民俗的な信仰対象である木造物や石造物について、永松氏は筑前琵琶の例を挙げ盲僧が果たした役割と歴史について、松原氏は海女や祭り等の海に関わる民俗文化について、各々具体例を挙げて韓国と日本の類似性を説明した。松原氏が「人の往来は文化の往来。文化は人が持って移動する」という任氏の説に言及すると、任氏は朝鮮通信使の例を挙げ、職人や僧などとの交流を通して文化の伝達があった一方で、唐人踊りなどのように大衆との生活交流の中からも伝承されたケースもあると、人と文化の移動について論じた。

最後に稲葉氏が、韓国内でも沿岸と内陸の文化が違うことや、伝播は日本から韓国へという逆もあるという点をあげ、韓国と日本の民俗文化のつながりについて、さまざまな見方を知る重要性を述べて結んだ。

2005年学術研究賞受賞/トー・カウン

タイトル
ヤシの葉をデジタルで保存
開催日時
9月17日(土)13:00~15:00
会場
アクロス福岡地下2Fイベントホール
講演者
奥平 龍二(東京外国語大学名誉教授)
講演者
斎藤 照子(東京外国語大学外国語学部教授)
講演者
伊東 利勝(愛知大学文学部教授)
コーディネーター
石澤 良昭(上智大学長)

古文献保存功労者であり、図書館学においてアジアを代表する先駆者の一人であるトー・カウン氏による市民フォーラムが、9月17日アクロス福岡にて開催されました。

第1部:基調講演

基調講演ではトー・カウン氏が、古文献の種類や貝葉の製作工程、保存修復の方法などを映像で分かりやすく説明した。また、貝葉写本をはじめとする古文献が、喪失の危機に直面している現状を説明するとともに、保存の必要性を訴え、「古文献に残された知の歴史を守ることで、自国の文化、ひいてはアジアの文化を形づくっている各国固有の学問を守ることができる」と語った。

第2部:講演

続いて奥平氏が、「古文献は人々の生活や自然環境の中で生み出された知恵の結晶である」と述べ、ミャンマーにおける古文献の変遷やその歴史的背景などを説明した。

その後、斎藤氏が、実際にデジタル化された古文献の映像を紹介しながら、「当時の人々の生活、習慣、文化を知るうえでの貴重な史料である」と述べ、その内容を具体的に説明した。

伊東氏は、実際にミャンマーの古文献が公開されているウェブサイトを紹介しながら、「古文献をデジタル化することで末永く保存できるだけでなく、インターネット等の様々なメディアによって世界中で活用できる」と、デジタル化することの意義を明言した。

最後に石澤氏が「古文献を保存することは、知的歴史遺産を保存することであり、それはアジアの文化を守ることである」と述べて、締めくくりの言葉とした。

2005年芸術・文化賞受賞/ドアンドゥアン・ブンニャウォン

タイトル
無限のデザイン〜受け継がれてきた織物たち〜
開催日時
9月18日(日)14:00~16:00
会場
福岡市美術館講堂
パネリスト
鈴木 玲子(東京外国語大学外国語学部助教授)
コーディネーター
新田 栄治(鹿児島大学法文学部教授)

ラオスの伝統文化、特に織物の振興と伝統技術の保存、ラオス文学の研究と普及に貢献するラオスを代表する文化人であるドアンドゥアン・ブンニャウォン氏による市民フォーラムが、9月18日、福岡市美術館で開催されました。

冒頭で新田氏がラオスの位置や歴史について説明するとともに、ラオス案内ビデオを紹介し、観客は徐々にラオスの魅力に引き込まれていった。

第1部:基調講演

基調講演では、ブンニャウォン氏がスライドを見せながら、ラオスでの織物作業の風景を紹介し、織りの種類や模様の由来などを説明した。また、ラオスの日常生活の中で織物の役割について、楽しいエピソードを交えながら紹介した。

第2部:パネル・ディスカッション

パネルディスカッションにおいて、ブンニャウォン氏は、伝統織物を守っていくためには、政策や多くの組織の援助が必要であり、家庭で織物の技術を学ぶことができなくなった今、織物の学校が必要であると語った。また、鈴木氏は、女性は教育を受ける機会がなかったので、文字のかわりに織物の中で自分の思いや夢などを伝えていったのではないかと語った。

ブンニャウォン氏所蔵の民族衣装を身につけたモデルが登場すると、会場は華やかになり、観客は色とりどりで個性的なデザインの衣装の特徴やその着用シーンなどについての説明を熱心に聞いていた。

最後に新田氏が、アジアには多くの民族があり、それぞれに独特の伝統織物の世界を持っている。実際にアジアに行って、この豊かな織物の世界を自分の目で確かめて欲しいと締めくくった。

2005年芸術・文化賞受賞/タシ・ノルブ

タイトル
ヒマラヤからの歌声
開催日時
9月16日(金)18:30~20:30
会場
イムズホール
紹介者
藤井 知昭(中部高等学術研究所教授)

ブータンで初めて民間の伝統音楽グループ「タシ・ネンチャ」を結成。ブータンの民間人としては初めて、音楽を中心に伝統文化の保存と継承に取り組んでいるパイオニアであるタシ・ノルブ氏による市民フォーラムが9月16日、イムズホールで行われた。

はじめに、藤井氏が受賞者であるタシ・ノルブ氏の功績を説明。引き続き、自ら撮影した映像資料を用いながら、ブータンの概要や文化を紹介した。

パフォーマンス

次に、タシ・ノルブ氏がディレクターを務める伝統音楽グループ「タシ・ネンチャ」を紹介。メンバー6人が色彩豊かな民族衣装でステージに登場すると、会場から大きな拍手が起こった。

タシ・ノルブ氏は各パフォーマンスごとに歌や踊りの解説を行い、チベット仏教の影響を色濃く残す独自の文化的背景を説明した。いつも公演のはじめに演奏するという「クズザンポー」では、ブータン民族楽器の演奏にのせて、のびやかな歌声が会場にこだました。また、レムと呼ばれるシンバルが鳴り響く中、鹿の面をつけた踊り手がステージを飛び回るダイナミックな宗教的仮面舞踊、ブータン北西部に住む民族ラヤップや東北部のサクテン村の踊りなど、それぞれ独特の衣装を身にまとって、9つのパフォーマンスが次々と披露され、観客はどこか懐かしいブータンの伝統文化の世界に引き込まれていった。最後のプログラムであり、ブータンの伝統的な締めの踊りである「タシ・レベ」では、会場から参加した飛び入りの観客も加わって、楽しい総踊りの輪ができた。

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各種イベントレポート

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