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2006年市民フォーラムレポート

2006年大賞受賞/莫 言(モオ・イエン)

タイトル
未来へのメッセージ~越境の文学世界から
開催日時
9月17日(日)13:00~15:00
会場
アクロス福岡イベントホール
パネリスト
津島 佑子(小説家)
パネリスト
リービ 英雄(法政大学教授)
コーディネーター
川村 湊(法政大学教授)

現代中国文学を代表する作家、莫言氏による市民フォーラムが9月17日、アクロス福岡で行われた。

第1部:基調講演

基調講演では莫言氏は、創作の原点は「飢えと孤独」であると語り、小学校を中退し荒地で放牧しながら牛や鳥と話したことや、草原に寝そべって空想にふけり自然と対話していた少年時代にふれ、孤独であったが、このような経験が現在の想像力につながっていると述べた。また、創作の精神にもふれ、人間としての徳、尊厳を忘れず、生命を尊ぶこころを持つことの大切さを述べた。さらに、作家は積極的に世界でおこっている全てに目を向け、人類的観点に立ち文学的手法で自分の考えを表現しなければならないと論じた。

第2部:パネルディスカッション

パネルディスカッションは、川村氏の司会により進行した。

津島氏は『白壇の刑』の文章表現を例に挙げ、莫言氏の作品は残酷だけど美しい、そのような表現力の豊かさと、物事をレトリックにダイナミックに転換していると紹介した。

リービ氏は、莫言氏が文学とは何か、何のために書くのかという文学の根源を語ったことに感動した。また、莫言氏が言う「文化の源は民の中にある。農村にある」と論じたことに共感し、田舎に普遍的な世界性があることが見えてきたと述べた。

最後に莫言氏が、誰もが自分なりの「民の空間」を持っており、その空間の中で独特の経験をしたことが文学上の自分の貴重な拠りどころとなる。それらの独自の経験を生かすことが、他の人とは異なる文学作品を完成させる、と論じて結んだ。

フォーラム終了後、莫言氏のサイン会を行い、大勢の人が列を作った。

2006年学術研究賞受賞/シャグダリン・ビラ

タイトル
民族も国境も越えて
開催日時
9月16日(土)16:00~18:30
会場
アクロス福岡イベントホール
パネリスト
刈間 文俊(東京大学教授)
パネリスト
木村 理子(東京大学客員助教授)
パネリスト
袴田 茂樹(青山学院大学教授)
パネリスト
森川 哲雄(九州大学教授)
パネリスト
吉田 順一(早稲田大学教授)
コーディネーター
杉山 正明(京都大学教授)

国際的に高く評価されているモンゴル国を代表する歴史学者、シャグダリン・ビラ氏による市民フォーラムが9月16日、アクロス福岡で行われた。

パネルディスカッション

チンギス・カンがモンゴル帝国を創設してから今年で800周年。ビラ氏の受賞を記念したこの市民フォーラムでは、ユーラシア大陸を横断し、民族や国境を越えて存在した「モンゴル」の過去・現代・未来を、多彩なパネリストたちが壮大なスケールで語った。

第1部では、「チンギス・カンとモンゴル帝国」をテーマに、京都大学文化部蔵の「混一疆理歴代国都之図(こんいつきょうりれきだいこくとのず)」を会場に展示し、13~14世紀のモンゴルがいかに世界に対し影響を与えていたかについて語った。

第2部では「ユーラシアの中でのモンゴル、モンゴルの現状と未来」をテーマに、パネリストそれぞれが自身の専門分野を中心に語った。

フォーラムの途中で、モンゴル出身の白鵬関からビラ氏へのお祝いメッセージのVTRを紹介。

フォーラムの最後には、モンゴルで大人気の歌手グループ「カメルトン」が、力強くかつ透明感のある歌声を披露し、フォーラムを締めくくった。

2006年学術研究賞受賞/濱下 武志

タイトル
海域アジアの歴史
開催日時
9月16日(土)13:30~15:30
会場
アクロス福岡イベントホール
パネリスト
高良 倉吉(琉球大学教授)
パネリスト
服部 英雄(九州大学教授)
パネリスト
早瀬 晋三(大阪市立大学教授)
コーディネーター
末廣 昭(東京大学教授)

東アジア近代史の分野で顕著な業績を挙げただけではなく、「地域としてのアジア歴史像」を斬新な方法と視角で分析した歴史学者、濱下武志氏による市民フォーラムが9月16日、アクロス福岡で行われた。

冒頭で、末廣氏が濱下氏の業績や出演者について紹介した

第1部:基調講演

基調講演において濱下氏は、歴史的にアジアが国と国ではなく、都市を中心につながっていたことについて、琉球、香港、上海のそれぞれの事例を交えて論じた。また、アジアの沿海都市のネットワークをどのようにつくっていくかが、現在及び将来の課題となっており、「今後、福岡がその経済地理的な、あるいは文化地理的な地位をどのような形でアジアに発信し、また受け止めていくかは、非常に大きな歴史的な試みとして期待されている」と締めくくった。

第2部:パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、高良氏は琉球の歴史について、海によってアジアの地域とつながりながら各地域と頻繁に交流を展開していたと解説し、早瀬氏は海域から歴史を見ることによって、今までの陸を中心とした歴史観とは違った歴史が見えてくるということを瀬戸内地方や長崎の具体例をあげて語った。また、服部氏は中世の博多から見たアジアと日本の関係について、「唐房(とうぼう)」という当時の中国人居住区の地名のなごりや鋳銭遺跡を手かかりに語った。

最後に、出演者全員により海域アジアに関する意見交換を行った。

2006年芸術・文化賞受賞/アクシ・ムフティ

タイトル
映像によみがえる文化十字路
開催日時
9月17日(日)16:00~18:00
会場
アクロス福岡イベントホール
パネリスト
麻田 美晴(パキスタン文化研究家)
パネリスト
小西 正捷(立教大学名誉教授)
コーディネーター
藤原 惠洋(九州大学教授)

パキスタンを代表する民俗文化保存の専門家、アクシ・ムフティ氏による市民フォーラムが9月17日、アクロス福岡で行われた。

第1部:映像作品「サーカラマボックス」放映

ムフティ氏が制作した映像作品『サーカラマボックス』を放映した。パキスタンのほぼ中央を流れるインダス側に沿ってパキスタン全土を巡りながら、パキスタン文化のルーツを紹介するという作品に、観客の心は一気にパキスタンの魅力に引き込まれていった。

第2部:パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、まずムフティ氏が「パキスタンの文化は非常に古くにもかかわらず、その古い伝統が今でも生きている。まさに、生きた伝統文化である」と述べ、色彩豊かな資料映像とともにパキスタンの文化について詳しく紹介した。

その後、ムフティ氏がパキスタン文化の特徴としてあげた、古さ、継続性、多様性、口承伝統、統一性という5つのテーマに基づきディスカッションが行われた。小西氏は「パキスタンは、中央アジアやインドなどの大きな文化圏の中心である。そのパキスタンでは東西南北の文化がぶつかり合い、非常にダイナミックな変化を生んでいる」と、文化十字線だけで考えてしまうと見えてこない部分がたくさんある」とも述べた。

最後に、ムフティ氏が「日本もパキスタンも東洋の国である。東洋と西洋の違いを認識したうえで、東洋的価値観を守っていってほしい」と述べて、締めくくりの言葉とした。

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各種イベントレポート

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