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2007年授賞式レポート

2007年(第18回)福岡アジア文化賞授賞式

開催日時
2007年9月13日(木)/18:00~19:40
会場
アクロス福岡シンフォニーホール
司会
アグネス・チャン
参加者
1,100人

秋篠宮同妃両殿下の御臨席を賜り、多くの市民や留学生、文化関係者など1,100人が見守る中、アグネス・チャンさんの司会で進行されました。

式典の冒頭で秋篠宮殿下より「福岡アジア文化賞は、アジアの文化の保存と創造に対して貢献することを目的として大変意義深く、本日受賞される4人の方々に、心からお祝いを申し上げたく思います。皆様の優れた業績は、アジアの文化に対する貢献であることにとどまらず、人類社会全体の文化を豊かにするものであり、世界に対しての貴重な発信であります。」と受賞者を讃えるお言葉を述べられました。

その後、福岡インターナショナルスクールの子供達から花束贈呈が行われた。

秋篠宮殿下のお言葉

福岡アジア賞は、アジアの文化の保存と創造に対して貢献することを目的として大変意義深く、本日受賞される4名の方々に、心からお祝いを申し上げます。
皆様の優れた業績は、アジアの文化に対する貢献であることにとどまらず、人類社会全体の文化を豊かにするものであり、世界に対しての貴重な発信であります。

大賞/アシシュ・ナンディ氏による受賞者スピーチ

今回の受賞は、私個人のささやかな業績に対するものではなく、広範なアジア諸国と諸文化を貫く、ひとつの意思表示であると捉えています。アジア社会の間での、ダイレクトな異文化交流を復活させることこそ、自由を求めて戦うインドの人々が夢見ていたことでした。植民地支配により、古くから続いてきたアジアの知性と文化の連帯は分断・破壊され、以降アジア圏での文化相互交流は、西洋の介在、主として西洋型の大学ないしは研究システムが介在する形で進められてきました。アジアの多様な社会ないしは文化同士が、互いの間にダイレクトにな繋がりを再び取り戻すため、アジア独自の領域判断と評価基準に基づいた、ひとつの努力と受け止めて受賞いたします。

また、民主主義という文化が真に成立するためには、グローバル・システムの底辺や周縁部に追いやられた人々にも、投票権と異議申し立ての権利が与えられるべきであることはもちろん、教科書に出てくる政治理論の正当性を問う権利、さらには、自らの文化的資源をたよりに世界全体としての公共生活のあり方や人類の未来のあり方を改めて思い描く作業へ参加する権利についても、認められねばなりません。まさに福岡アジア文化賞は、アジア文化の意義を認め、賞賛するとともに、創造的エネルギーを地域から新たに放ちながら、グローバルな民主主義を深化させる、そんな取り組みであると思います。

学術研究賞/シーサック・ワンリポードム氏による受賞者スピーチ

私が研究を進めるにあたっての主な関心テーマとしては、やはり「自然と文化」ということにつきます。

というのは、私自身の個人的経験や学校教育を通じ、「40年間の西洋化と経済発展の過程で若い世代が個人主義と物質主義の犠牲になってしまった」という認識を持つに至ったからです。若者たちは、自身について、同胞について、そしてグローバル化する世界について、あまりにも無知だ。これは、社会学、人類学、人文科学といった分野、つまり人間・自然・文化・社会について総体論的に理解する基礎の学を、半世紀間なおざりにしていた教育制度にこそ問題があるのだと思う。

今私は、地元の人々による地域博物館を立ち上げる準備をタイ各地でしています。単なる収集・展示の場ではなく、古くから地域に伝わる知恵を集め、次世代に継承していくためでもあります。私が「地域史」という考え方にたどり着き、その手法に取り組んできたのも、地域の目線で地域の「知」を築くことのできる人材を育てるためであり、それこそグローバル化する世界と上手く渡りあう「地域化」の基本であり、必要な作業と思います。

芸術・文化賞/朱 銘(ジュウ・ミン)氏による受賞者スピーチ

「学ぶ」ということは、他人の技術をもらうだけで、単なるプロセスに過ぎない。芸術に必要なのはその対極にある態度、「修行」です。修行と学習とは違う。仏教であれば衣食住のすべてが修行であるように、頭で覚えてどうにかなるものではない。まず、先生が教えたものを、忘れる努力をするところからはじめる。そして他人のものを一掃してしまったところで、初めて自分というものが表現できる。

私の創作では、例えば彫刻を彫るのを早くしてみる。極限までスピードをあげて何個も何個も彫る。速さに自分の思考がついていけないぐらいになり、無我の境地に至ったところで、まるで思想そのものが一気呵成に彫り上がったような、完璧な美を追求することができるんです。何日もかけて細工したものより、シンプルなものの方が難度が高い。しかしむしろこちらの方が、研ぎ澄まされた、実にいい形ができる。だから私はいつも「藝術即修行」といっている。言ってみれば、李白が酔の極みにこそ佳い詩ができるというのと同じですね。

芸術・文化賞/金 徳 洙(キム・ドクス)氏による受賞者スピーチ

杖鼓(チャング)を叩き続けた一人の芸人として、一言だけ申し上げたいと思います。世界中どの国、民族であっても、打楽器というものは共通して、一番人間的な、自然なエネルギーを私たちに与えてくれる楽器です。

いつからか、この地球村では『デジタル文化』が人間と自然を引き離してしまうようになりました。大変恐ろしいことです。人間はデジタルなものだけを持って生きていくことはできません。自然的なもの。人間的なもの。アナログ的なものがなければ、デジタルも存在し得ないのです。そんな時代に、だからこそ私が賞に選ばれたのだと思っています。

音楽をして興が乗ったとき。韓国語では『神明(シンミョン)』といいますが、身のうちから沸き起こる力、突き上げてくるようなエネルギーがあります。それは全世界のあらゆる民族がもっているはずで、これからも時代を超え、アジアだけでなくすべての民族のその固有エネルギーが生き残っていかなければいけないと思います。

今年も1月に福岡で演奏しましたが、実は43年前、初めて来日講演したものこの福岡でした。最初に訪れたこの福岡で、私が今までしてきたことを評価された。それは、私と同じように、一筋に、真に生きてきた人達にも、勇気と希望を与えたということだと思います。

だから、この福岡アジア文化賞は、21世紀の、すべての人達が一緒に生きていく、そういう共生の文化の賞だと私は思っています。

2007年(第18回)福岡アジア文化賞祝賀会

開催日時
2007年9月13日(木)/20:00~21:30
会場
アクロス福岡

授賞式を終え少しリラックスした中での祝賀会。地元福岡の参席者とともに、受賞者の栄誉を称えました。

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた2007年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

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各種イベントレポート

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