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2009年授賞式レポート

2009年(第20回)福岡アジア文化賞授賞式

開催日時
2009年9月17日(木)/18:20~20:00(途中休憩あり)
会場
福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2-1/092-262-4111)
司会
楠田枝里子

秋篠宮同妃両殿下のご臨席をたまわり、市民のみなさまや留学生、文化関係者など約1,000人が参加し、20回の節目を飾る授賞式が行われました。

第1部では、和服姿の筑紫女学園大学アジア文化学科の学生にエスコートされながら受賞者が入場。吉田宏市長と鎌田迪貞よかトピア記念財団理事長から賞状と メダルが贈呈されると、各受賞者は受賞の喜びや市民へのメッセージなどを思い思いの言葉でスピーチ。福岡インターナショナルスクールの子どもたちによる微 笑ましい花束贈呈で締めくくりました。

第2部は司会の楠田枝里子さんと受賞者との対談で幕開け。子供時代のエピソードや日本の魅力、アジア文化への思いなどトークは和やかに進み、ときおり会場 から笑い声がこぼれる楽しい場面も。対談後は市民を代表して、西南学院大学学生の佐野友紀さんがお祝いの言葉を述べ、最後は作曲家・三木稔氏の代表作「ワ カヒメ」をオペラ歌手、宇佐美瑠璃さんが披露し、美しい歌声に会場全体が酔いしれました。

秋篠宮殿下のお言葉

アジアには多様な風土がつくり出し、長い歴史の中で育んできた各地域固有の文化が息づいています。

私自身、アジアを旅するおりに、その深さや豊かさに感銘を受けるとともに、それらを保存し、継承していくことが大切であるとよく感じます。

このような時代にあって、福岡アジア文化賞はアジアの固有で多様な文化の保存と継承、そして創造に貢献するものであり、大変意義深いものと考えます。

本日受賞される方々の優れた業績は、この時代に生きる人々のみならず、次の世代の人々とも共有する人類の貴重な財産になるのではないかと思います。

大賞/オギュスタン・ベルク氏による受賞者スピーチ

オギュスタン・ベルク氏による授賞式スピーチ

今回の受賞をことさら光栄に思っているのは、アジア人ではなく、東洋学を研究している西洋人の地理学者である私が賞をいただけたからです。私は、あらゆる 風土がそれぞれに唯一無二の存在であることを十分認識しつつも、地理学者として物足りず、各々の文化と自然の関係性の中に、普遍的な人類のルーツというも のをずっと探し求めてきました。

私をこの道へ導いたのは、和辻哲郎という日本人の哲学者です。和辻先生はこの道を「風土学」と読んでいました。私 は、和辻先生の時代や彼の立場では入手できなかった西洋と東洋(中国)の資料を参考に、さらにこの道を進めてきました。文化帝国主義でもなく、各文化が自 分の殻に閉じこもるのでもない。特に東西間の文化交流について私が思うのは、まさにこういった状況です。今後もこうした交流がずっと続いていくことを願っ てやみません。

学術研究賞/パルタ・チャタジー氏による受賞者スピーチ

パルタチャタジー氏による授賞式スピーチ

一つの国の歴史には、さまざまな現実が積み重なっています。そこに批判的な目を向けて問い掛けることが、特にインドにとっては重要でした。歴史学は、あまり生産的な仕事ではないかもしれませんが、今まで人が発見していない事実に突き当たると、まるで金の鉱脈を掘り当てたようなワクワクした喜びを感じます。

生まれ故郷のコルカタと福岡には、近代史において一つの共通点があります。地理的・歴史的立場から、外部の影響をたくさん受け、それが人々の生活や人柄、社会制度を形づくってきたという点です。私は幸運にも、地方が直接海外と交流するという伝統を受け継ぐ一人となりました。「今の時代、コルカタにいては国際的に通用するレベルの学術研究は無理だ」などという声も聞かれますが、それは間違っていることが、今回の受賞で証明されました。

芸術・文化賞/三木 稔氏による受賞者スピーチ

三木稔氏による授賞式スピーチ

国際性を考えながら自国の各時代を題材とするオペラ連作を作曲すること、西洋のオーケストラと民族楽器の大アンサンブルの共演で真の交響曲を創造することは、世界の誰も考えなかったことです。

また、日本を含むアジア民族楽器の現代化・国際化のために、作品創造とプロデュースの両面で献身するようなことは、誰もしませんでした。これら古今東西の境界線を歩くような仕事は、いつも「ヒマラヤの尾根を縦走する」くらい危険でどきどきワクワクするものでした。

日 本・アジア・西欧を平等にとらえ、それぞれのアイデンティティーを生かしつつ「共生」することの重大性を踏まえながら、それを越えた「共楽」を音楽文化の 目標において努力し、50年以上になります。国際賞をもたない音楽人として「福岡アジア文化賞」はぜひ射止めたいと思っていた賞です。やっと思いかなっ て、日本人として初めて芸術・文化賞を受賞でき大変光栄に思います。

芸術・文化賞/蔡 國 強(ツァイ・グォ・チャン)氏による受賞者スピーチ

蔡 國 強(ツァイ・グォ・チャン)氏による授賞式スピーチ

私は、福岡が持つアジアへのメッセージや考え方に影響を受け、アジアについて考え始めました。アーティストとしてアジア文化を位置づけようとしました。だ から、福岡に来て私はアジアに戻ったといえます。また、日本の近代化が西洋化し過ぎたのではという反省の時代、私自身もアジア人のひとりとして考えまし た。そして、もっと大きい宇宙的な視野で仕事をしていこうと決意しました。日本に来て、私は宇宙に近くなったのです。

宇宙で仕事をしていると、ア ジア人として特別視されてしまう一方で、良いこともあります。それはアジアの思想がもつ自然との対話によってすごいスケールの作品を作ってしまうこと。も うひとつは、アジア文化の中にある多文化を尊重し大切にするという哲学によって、どの国でもいろんな人と対話しながら、いい仕事ができるということです。 だから今、そのおかげでこのような素晴らしい賞をいただけるのだと思います。

2009年(第20回)福岡アジア文化賞祝賀会

授賞式後に関係者が集まって開かれた祝賀会は、リラックスした雰囲気の中で行われました。

在大阪・神戸フランス総領事館のフィリップ・ジャンヴィエ・カミヤマ総領事が祝辞を述べ、各国の代表者や福岡の参席者とともに受賞者の功績を称えました。

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた2009年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

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各種イベントレポート

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