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2011年授賞式レポート

2011年(第22回)福岡アジア文化賞授賞式

2011年(第22回)福岡アジア文化賞授賞式
開催日時
2011年9月15日(木)/18:20~20:00(途中休憩あり)
会場
福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2-1/092-262-4111)
司会
檀ふみ

秋篠宮同妃両殿下の御臨席を賜り、市民や各国、各界関係者など約千人が参加し、福岡国際会議場で授賞式が開かれました。厳粛な雰囲気に包まれた第1 部では、あでやかな和服姿の筑紫女学園大学アジア文化学科の学生にエスコートされながら受賞者が登壇。

高島宗一郎福岡市長と鎌田迪貞よかトピア記念国際財 団理事長から賞状とメダルが贈られた受賞者は、受賞の喜びや福岡市民へのメッセージを込めてそれぞれスピーチ。最後は福岡インターナショナルスクール の子どもたちから花束が贈呈され、盛大な拍手に包まれました。

第2部では司会の女優・檀ふみさんと受賞者が和やかに対談。子供の頃夢中になっていたことや苦手なこと、これだけはやっておきたい夢など、各受賞者 の内面が垣間見える楽しい対談になりました。

対談後は、市民代表の大坪加奈子さんが祝福の言葉を贈り、流暢なクメール語を披露されました。エンディングで はカンボジアの伝統音楽、クメールクラシックの演奏で受賞者を祝福し、幕を閉じました。

司会の檀ふみさん
司会の檀ふみさん
賞状とメダルを授与される受賞者
賞状とメダルを授与される受賞者
授賞式会場の様子
授賞式会場の様子

秋篠宮殿下のお言葉

歴史や自然環境の違いなどにより多様性を有する人類社会は、近年、国際社会におけるグローバル化が進展していく中で、一般化、ときには画一化された 思考方法や生活様式を受容しつつあります。一方、多くの国や地域では固有の文化や伝統を守り育てていくことに多大な努力を重ねてまいりました。

アジアには、多様な風土や自然環境が創り出し、長い歴史の中で育くんできた各地域固有の言語、民俗など文化が息づいています。私自身、アジアの諸地域を幾度となく訪れていますが、それぞれの土地の独自の文化に触れるたびに、その深さや豊かさに感銘を受けております。

このような時代にあって、福岡アジア文化賞は、アジアの固有で多様な文化の保存と、継承そして創造に貢献するものであり、大変意義深いものと考えま す。本日受賞される方々の優れた業績は、世界に対してアジア文化の意義を広く示すとともに、社会全体で共有する人類の貴重な財産になるのではないかと思い ます。

大賞/アン・チュリアン氏による受賞者スピーチ

アン・チュリアン氏授賞式スピーチ

これまで行ってきた活動の意義が認められ、今回大賞を受賞することができたことを、大変光栄に思います。

若かりし頃は、やるべきことをやるだけで「自分が行っていることの意味とは何か?」などという哲学的な疑問をもつことはありませんでした。しかし、様々な活動を通じて、自分でも気付かぬうちに、多かれ少なかれ、ある種の指針に基づいて活動をしてきたのだと気付かされました。

それは「他者と、知識と愛を分かち合う」ということです。今回、福岡アジア文化賞の大賞を私に授与すると決定していただいた審査員の方々は、まさに 私にこの指針を再認識させてくれました。そのことに気付かせてくれた福岡アジア文化賞委員会に素直に感謝の意を表したいと思います。

学術研究賞/趙 東 一(チョ・ドンイル)氏による受賞者スピーチ

趙 東 一(チョ・ドンイル)氏授賞式スピーチ

福岡は東アジアの他の地域より開放的な気質を持ち、国際交流の中心地としてその役割を果たしてきた歴史があります。東アジア各国は漢学の文章でやり とりを行う“通文”と口語で行う“通語”の2つの方法を用いてきました。著書『東アジア文明論』のなかでも主張していますが、私は「通文の中心が北京であ るならば、通語の中心は博多である」と考えています。それゆえ、東アジアの通文と通語についての総括的、国際的な共同研究を、福岡が先頭にたって行なうこ とを期待しています。

東アジアの各国は規模、政治体制、経済情勢が大きく異なっているため、今すぐの統合は実現困難です。政治・経済と区別される文化が、そして文化を対象とする学問が、まず文化共同体あるいは学問共同体を作ることこそがもっとも効果的で実現可能な方法であると思います。

芸術・文化賞/ニールズ・グッチョウ氏による受賞者スピーチ

ニールズ・グッチョウ氏授賞式スピーチ

幼少期以来、仏陀の「八正道」という思想に影響を受けてきた私は、20代でインド、ネパール、ビルマ、日本など様々な国を訪れ、その文化に接してきました。それ以来40数年、ドイツおよびネパールの2軒の家と共に、豊かな異文化体験を積んできました。

特に日本で宮大工として働いたことは、職人に対する私の評価を劇的に変化させるものでした。宮大工は単に労働者ではなく、芸術家であり、国家的財産でもあ ります。長年にわたり代々受け継がれてきた技術のなかから生まれた技は、先人の知識体系を映し出す素晴らしい財産なのです。

この経験が、後にネパールの大工や煉瓦製造工と働く私の助けになったことは言うまでもありません。本日受賞したこの賞も、共に汗を流した経験豊富なネパールの芸術家および職人たちによる献身的な努力によるものが大きいと感じています。

受賞者と司会・檀ふみ氏による対談

受賞者との対談

---まずは、子供の頃についてお聞かせください。勉強は好きでしたか?
チョ氏:勉強が好きかって?・・・ウフフ、好きでした(笑)
檀さん:大好きだったんでしょ!?
チョ氏:・・・大好きでしたね。勉強より楽しいことはなかったよ!
アン氏:私も、いい生徒だったと思いますよ。
グッチョウ氏:私はおふたりとは違い、学校がつまらなかった(笑)伝統的なシステムの中でラテン語やギリシャ語などを習っていたので、退屈でおもしろくないと感じていました。
チョ氏:私も優等生ということではなく、勉強は好きな科目しかしませんでした。嫌いな勉強はせず、好きな科目だけやってました(笑)
---では、子供の頃夢中になっていたことは?
アン氏:子供の頃は、今の研究分野ではなく、機械的なものが大好きでした。特にトラクターや耕耘機など重機が非常に好きでしたね。
グッチョウ氏:私の父は建築家でしたので、幼い頃から様々な建築物をみてまわるのが好きでした。始めから建築を学ぼうと思っていました。
チョ氏:私は旅行好きだったので、山里などあちこちを巡って旅していました。最初はフランス文学を勉強していたんですが、まずは自分の故郷など身近なところから勉強しようと思い、民謡や説話などについての韓文学を研究し始めました。幼い頃から、好きであちこち巡っていたことが勉学の助けになりましたので、私にとって学問は、旅することと同じなのです。
---それでは、逆に苦手だったことや怖かったことは何ですか?
チョ氏:今現在苦手なものはIT関連です。コンピューターやインターネットなど電子関係は苦手ですね。今は仕事でどうしても必要なので若手に助けてもらっています。どうも近代社会にはなじめないようです(笑)
檀さん:子供の頃はどうでしたか?お化けとか怖くなかったんですか?
チョ氏:お化けの話はカンボジアにも無数にあります。13歳くらいの頃、日本のお化け映画を見たこともあります。子供の頃は怖かったけど、今は怖くないですね。カンボジアの精霊に関する博士号はもっていますが、お化けはいないと思います(笑)
檀さん:小さい頃はお化け信じてましたか?
グッチョウ氏:私の子供の頃は、お化けはいませんでした、1回も会ったことないですし(笑)仏様が言うには、お化けはいないそうですよ。ただ、今住んでるネパールの家にはいそうですけど(笑)
檀さん:ネパールにお住みなんですか?
グッチョウ氏:1年のうちネパールとドイツを半々くらいで行き来しています。日曜日の夜はお化けのいるネパールへ帰りますよ(笑)
チョ氏:韓国には「トッケビ」というお化けがいます。でも、これは人を怖がらせるのではなく、楽しませてくれるお化けなんです。理想の友人とも言われています。ですから、韓国ではお化けを怖い存在とはあまり思わないんです。
---話は変わりまして、大切にしている言葉は何ですか?
アン氏:言葉ではありませんが、アジアの人間として年配の方に敬意を払うことや、死ぬまで勉強し続けたいという気持ちを大切にしていきたいと思っています。自分の持っている知識を、世のため人のために使えるようにしなければならないと考えています。
チョ氏:人は自分の意志どおりには動いてくれない、動くと思うなという言葉です。
グッチョウ氏:喜びや歓喜という意味を持つ「フロイデ」という言葉です。死ぬまで喜びを感じていたいので。
---最後に、これだけはやっておきたいことや夢は何ですか?
アン氏:今もやっていることですが、民族学の分野を研究したり、教えたりすることを継続していきたいですね。自分の知識を若い同僚たちと共有したいと考えています。
チョ氏:私は絵と旅行が好きなので、いろんな場所を旅して、いろんな風景の絵を描きたいと思っています。
グッチョウ氏:たまたま本日、ネパールに関する著書がスイスで出版されるんですが、死ぬまで建築に関する著書を書き続けていきたいですね。

冒頭、アン氏によるクメール語講座から始まった対談は、終始なごやかムードで進みました。檀さんの巧みな話術により話は大変盛り上がり、最後は時間が足りなくなるほど。受賞者の意外な一面が垣間見えた、とても楽しい対談でした。

カンボジア伝統音楽「クメールクラシック」特別演奏

クメールクラシック演奏

今回のために特別にカンボジアからお招きした、クメールクラシックの名手たちによる伝統音楽の演奏が、式典の最後に披露されました。王立芸術大学を卒業後、現在は講師などをされ、王宮とともに来日するなどカンボジアでもトップクラスの演奏者による異国情緒たっぷりの調べに、観客のみなさまも時を忘れてうっとり。どこか懐かしい音色に時の経つのも忘れるほどでした。

2011年(第22回)福岡アジア文化賞祝賀会

授賞式後に関係者が集まって開かれた祝賀会は、くつろいだ雰囲気の中ですすみました。シンガポール共和国大使館のローレンス・ベイ臨時代理大使が祝辞をのべ、各国の代表者や福岡の参列者とともに受賞者の功績をたたえました。

受賞を祝して乾杯
受賞を祝して乾杯
会場に溢れるお祝いムード
談笑する受賞者

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた2011年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

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各種イベントレポート

2011年度の授賞式以外のイベントレポートをご覧いただけます。