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2014年授賞式レポート

2014年(第25回)福岡アジア文化賞授賞式

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開催日時
2014年9月18日(木)/18:15~20:00(途中休憩あり)
会場
アクロス福岡1F 福岡シンフォニーホール(福岡市中央区天神)

第25回福岡アジア文化賞の授賞式は、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を賜り、市民をはじめ各国の来賓、各界関係者などが一堂に会して開催され、受賞者の栄誉を讃えました。

弾むような三味線の響き、色鮮やかなプロジェクションマッピングの造形美。第25回の節目を飾る授賞式は、躍動感あふれる演出で幕を開け、客席中央を歩く3人の受賞者は、盛大な拍手を浴びて登壇。高島宗一郎福岡市長が「『アジアを知る』から『アジアと創る』へ進化したアジアンパーティの中で、これまでの蓄積を生かし、様々な交流を大切にしていきたい」と挨拶。続いて秋篠宮殿下よりお言葉を賜り、福岡アジア文化賞審査委員長の有川節夫九州大学総長から選考経過が報告され、いよいよ贈賞。髙島市長と末吉紀雄福岡よかトピア国際交流財団理事長が、受賞者それぞれに賞状とメダルを贈呈。市民代表からお祝いの言葉が贈られ、ドレスアップした福岡インターナショナルスクールの子どもたちが花束を手渡すと、会場は大きく温かな拍手に包まれました。

第2部では3人の受賞者による喜びのスピーチに続き、市民代表の質問に答える形で「福岡への期待」「日本文化への関心」「活動のエネルギー源」などについて、受賞者がそれぞれの思いを語りました。続く雅楽と昆劇の共演では、衣冠束帯姿の東儀秀樹氏が奏でる艶やかな雅楽の音色と、昆劇女優、徐思佳氏の華麗な舞いが共鳴。さらに、東儀氏が奏でる遥かな地平まで響くような祝曲の音色が、授賞式の最後を優雅に締めくくりました。

客席中央を通って壇上へと向かう受賞者
客席中央を通って壇上へと向かう受賞者
賞状と記念メダルを授与される受賞者
賞状と記念メダルを授与される受賞者
会場からの質問に答える受賞者
会場からの質問に答える受賞者

秋篠宮殿下のお言葉

address.jpg本日、福岡アジア文化賞の授賞式が開催されるにあたり、受賞される3名の方々に心からお祝いを申し上げます。

また本賞が、このたび25回の節目を迎えられたことは誠に喜ばしく、これまで力を尽くしてこられた多くの関係者に深く敬意を表します。

現代社会におけるグローバル化の進展は、画一的な思考方法や生活様式をもたらした面があります。いっぽう、地域の独自性や多様性に対する人々の関心とその重要性に対する認識が高まってきていると感じることが多々あります。

このようななか、「福岡アジア文化賞」は、アジアにおける固有で多様な文化を尊重し、その保存と継承に貢献するとともに、新たな文化の創造にも寄与することを目的とした、大変意義深い賞であると言えましょう。本日の受賞者も歴代の受賞者同様、文化の多様性に対する理解の促進と未来の発展に示唆を与えてこられた方々です。その優れた業績は、アジアに限らず、広く世界に向けてその意義を示すとともに、社会全体でこれを共有し、次の世代へと引き継がれる人類の貴重な財産になることと思われます。

終わりに、受賞される皆様に改めて祝意を表しますとともに、この福岡アジア文化賞を通じて、アジア諸地域に対する理解、そして国際社会の平和と友好が一層促進されていくことを祈念し、私の挨拶といたします。

大賞/エズラ・F・ヴォーゲル氏による受賞者スピーチ

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本日は秋篠宮同妃両殿下、髙島市長、そして福岡市のみなさん、ありがとうございました。この福岡アジア文化賞をいただくことができまして、誠に光栄に思っています。

私は50年以上、米国人がアジアをできるだけ深く理解できるようにするため、アジア研究を続けてきました。そのおかげで今回、福岡アジア文化賞を受けることができるのは、大変にうれしいことです。

福岡はアジアとの交流で特別な役割を果たしてきたことは、みなさん、ご存知の通りです。中国大陸、朝鮮 半島、東南アジアとの玄関口にある福岡は、日本でも最も古い都市の一つであり、長年にわたって宗教の交流、文化の交流、人間の交流、それから経済の交流など、あらゆる分野の交流を続けてきました。つまり、日本は福岡を通じてアジアとの交流を継続してきたのです。

私は個人的に福岡と密接な関係があると思っています。初来日の翌年の1959年、私は初めて福岡を訪ねてきましたが、その後50年以上、数年おきに何度も福岡を訪ねてきましたから、とても親しみを感じているのです。その間、私は福岡の経済の成長をはじめ、あらゆる分野のことを勉強しながら、少しずつ理解を深めてきました。

現在、日本は中国、韓国と緊張関係にあり、いろいろな問題を抱えています。それから北朝鮮や東南アジア各国も含めて、福岡はこうした国々との交流の最前線に立って密接な関係を築き、ますます交流を拡大していく役割を担っていると思います。

福岡市がアジアの国々との関係をより強く深くするために、このアジア文化賞を創設し、そして私に下さったことを心から感謝しています。

学術研究賞/アジュマルディ・アズラ氏による受賞者スピーチ

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栄誉ある福岡アジア文化賞の学術研究賞の受賞は、私にとって大変光栄なことです。また私だけではなく、私の家族や所属機関、そして祖国インドネシアにとっても光栄なことです。私は一介の学者にすぎませんが、このような素晴らしい賞を受賞できましたことは、まったく想像を絶する出来事でした。

今回の贈賞理由に「優れた歴史学者、革新的な教育者、中道・穏健なイスラームを説く知識人である。インドネシアにおける多元的で調和ある市民社会の形成に尽力し、イスラーム文化の深い理解に基づく実践的な活動は国際社会においても異文化間の相互理解に大きく貢献している」と表現していただいたことは、 私の生涯を通して抱いてきた思いを、非常によく言い表していただいたと思いました。

私の目指すところは、より調和のとれた平和な世界を築くことです。そのためには人々を分離・対立させているあらゆる違いを乗り越え、すべての人がお互いに理解を深め尊重することが、その第一歩となるはずです。

このグローバル化の時代においても緊張、紛争が続き、人類を苦しめており、先に述べた尊い努力は簡単なことではなくなりました。だからこそ、私たちはみな、調和のある平和な文明のため、一層努力するという大きな役割を果たさなければならないと考えます。

私は今を生きる私たちの努力を結集させることが、未来の世代のために新しい世界をつくることを可能にすると確信しております。そのために私たちは、ともにさらなる努力をして参りましょう。今回の授賞、ありがとうございました。

芸術・文化賞/ダニー・ユン氏による受賞者スピーチ

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アジアの多様な文化の振興と理解のため、福岡市は25年前、福岡アジア文化賞を創設しました。これにより世界が注目する文化的ブランドの地位を確立。世界の賞賛を受け、多くの都市の模範となっています。

現在の日中間の政治的な緊張関係を考慮すると、両国の文化部門の交流と連携は大変重要です。交流がなければ発展は不可能であり、文化交流のためのハード面とソフト面の確立が、文化の研究と発展の基盤となります。長期的な目標は、シンクタンクの創設と文化的創造力の振興であり、このためには次のようなことを推進していく方法を学ぶ、という目的を持っていなければなりません。それは政府と市民の間の双方向連携、創造性のための独立したプラットフォーム、研究開発のためのイニシアティブと提案、さらに、世界に広 げるための第一歩として、すべてのアジアを包括するということです。

3カ月前、私は上海での世界文化フォーラムに参加しました。その焦点はソフトパワーと、文化というソフト資本であり、それをどう使って世界平和を推進するか、ということでした。このフォーラムでの喜ばしいことは、ようやく中国が文化は国際交流の重要な分野であること、そして、香港が中国の最も重要なソフト資本であることを認識するようになったことです。

中国が直面する喫緊の課題は、香港の創造エネルギーを解放し、いつでも利用できるソフト資本を最大化することです。福岡と香港の間に、より密接な協力関係が構築され、世界の文化交流のモデルとなり、ソフト資本を世界の平和と繁栄のために解放していくことを私は切に望みます。

市民からのお祝いのことば

ceremony3.jpg皆様、こんばんは。私は西南学院大学の中村優太と申します。 大賞のエズラ・F・ヴォーゲル様、学術研究賞のアジュマルディ・アズラ様、芸術・文学賞のダニー・ユン様、この度は受賞おめでとうございます。市民を代表し心よりお祝い申し上げます。

私は、この8月に1987年に設立され交流を続けている日中学生会議に参加し、北京・広州・香港の大学生と3週間寝食をともにし、今日の緊張した日中関係や環境問題など様々な議論を通じて、日本で日々伝わってくる報道や根拠のない噂とは異なる、中国人学生の日本についての見方や生の考え方に触れることができました。ヴォーゲル先生は日本の家族関係の研究のために来日し、2年間滞在されたと聞いております。私も今回の中国訪問を通じ、その国の実状を深く知るには現地に赴き、現地の人と共に生活するなかで「生」の息吹を感じることができると実感しました。

今年5月に福岡市は、発展するアジアの経済活動の拠点となるべく国家戦略特区に指定されました。アジアの玄関口である福岡とアジアの人々の相互の理解と信頼を深める「生」の交流と協力が、さらに拡大していくことを願うとともに、受賞者の皆様のこれからのご活躍を心からお祈り申し上げ挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。

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受賞者インタビュー

会場にいる市民代表からの質問に答える形で「福岡への期待」「日本文化へ の関心」「活動のエネルギー源」などについて、受賞者がそれぞれの思いを語りました。

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---アジアの中で、特に日本に興味を持ったきっかけは、何でしたか。
ヴォーゲル氏:博士論文を書くため、米国とは異なる文化を持つ国として日本を研究対象に選んだからです。最初に科学的な目的で日本を勉強し、そして愛するようになりました。私の場合は恋愛結婚ではなく、いわばお見合い結婚で、これが成功でした。
---これからの福岡に期待することは、どのようなことですか。
ヴォーゲル氏:アジアとの交流では、これからは中央政府がやることと、市民ができることを分けて考えることが大切です。福岡はアジアとの交流で特別なポジションにあり、福岡の市民は日本の最先端に立っていると言えます。ですから中国、韓国との草の根の交流を重ねながら、もう少し相手の体験への思いやりと同情を持ちながら理解していけば、関係は次第によくなると期待しています。
---インドネシアとは一言で表すと、どのような国でしょうか。
アズラ氏:一言で表すのは難しいですね。インドネシアは13,000以上の島々から成り立ちます。ですから、地域性が豊富であり、数多くの宗教もあります。伝統も言語も豊富であり、1928年にできた公用語で話さないと互いに通じないのです。インドネシアに来られる方は、この文化の多様性を楽しんでほしいと思います。
---日本の文化について、関心のあるものがありますか。
アズラ氏:日本の徳川時代に非常に関心があります。日本の社会が伝統文化を無視しない形で、どのように近代化してきたのか。この経験に関 心があるのです。近代化の過程で地方の文化がダメージを受けたトルコと比較して、大きな違いがあります。この問題はインドネシアの近代化にも共通する課題でもあるからです。
---建築学を学ばれていたそうですが、なぜ芸術に目覚められたのですか。
ダニー氏:文化や芸術は、建築よりももっと大きな分野だと思います。しかし、私は建築学から多くを学びました。例えば、芸術でも基礎や構造、 が非常に重要であり、理想的な夢を追いかける姿勢も大切です。ですから私は、多くのインスピレーションを建築学から得て、進んできました。
---旺盛な活動を展開されていますが、そのエネルギー源は何ですか。
ダニー氏:きちんと食事をとることですね。そして、食事を楽しむこと。私は食べることが大好きで、昨日はおいしい食事をとり、真夜中まで目覚めていました。福岡に来てホントにうれしく思いました。こうして人生を楽しむことが主なエネルギー源だと思いますし、創造力や好奇心も重要です。私は初めて訪れた福岡で、数多くのことを学びたいと思います。

特別祝曲演奏&パフォーマンス

最後は、特別祝曲演奏&パフォーマンスとして、衣冠束帯姿の東儀秀樹氏が奏でる艶やかな雅楽と、昆劇の女優の華麗な舞いが共鳴。さらに、東儀氏が奏でる伸びやかな祝曲の響きが、授賞式の最後を優雅に締めくくりました。

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2014年(第25回)福岡アジア文化賞祝賀会

授賞式に引き続いて各国の来賓、各界関係者など多数の参加を得て祝賀会を開催。末吉理事長が「多くの出会いを通じて新しいネットワークが創られることを願います」と開会を宣言。続いて香港経済貿易代表部サリー・ウォン氏が「東洋と西洋の文化が融合する香港は文化交流の価値を評価し、この意味からも福岡の取組みは意義深い」と挨拶して乾杯。各受賞者と同伴者を囲んでにぎやかな談笑が広がり、会場は一気に和やかなムードに。祝福を受けながら、笑顔で記念撮影したり、各界からの出席者と交流する光景があちこちで見られました。

香港経済貿易代表部サリー・ウォン氏による乾杯
香港経済貿易代表部サリー・ウォン氏による乾杯
談笑する受賞者と高島市長
トリエンナーレの参加作家と談笑する受賞者

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた2014年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

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各種イベントレポート

2014年度の授賞式以外のイベントレポートをご覧いただけます。