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2015年授賞式レポート

2015年(第26回)福岡アジア文化賞授賞式

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開催日時
2015年9月17日(木)/18:20~20:00(開場/17:30)
会場
福岡国際会議場(福岡市博多区石城町)

映像による歴代受賞者の紹介と墨絵アートのオープニングで幕を開けた第26回福岡アジア文化賞授賞式。秋篠宮同妃両殿下ご臨席のもと各国の来賓、各界関係者、多数の市民が一堂に会し、式は華やかにスタートしました。

受賞者が客席から登場すると、会場には割れんばかりの拍手。これまでの功績をたたえ、受賞を祝う温かい空気にあふれました。髙島宗一郎福岡市長が受賞者が100名を超えたことを紹介。「アジアと創る」をコンセプトに、福岡アジア文化賞をはじめとした「アジアンパーティ」の一連のイベントの中で、さまざまな交流を通して新しい時代のアジアの交流拠点を目指していく、と挨拶しました。

続いて、秋篠宮殿下よりお言葉を賜り、審査委員長の久保千春九州大学総長より選考経過が報告され、髙島市長より受賞者に賞状とメダルが授与されました。市民を代表して大学生よりお祝いの言葉が贈られ、福岡インターナショナルスクールの可愛らしい子どもたちによって花束が贈呈されると、観客から大きな拍手が贈られました。

第2部では、受賞者による喜びのスピーチが行われ、市民の質問に答える形 で「ミャンマーの民主化」「多様性のあるインドと現代におけるガンディーの思想」「伝統と創造」などが語られました。

最後に、墨絵アーティスト西元祐貴氏が、墨絵と九州大学の映像テクノロジー を融合させたライブパフォーマンスを披露。墨絵がキャンバスから飛び出してスクリーンいっぱいに広がり、観客を躍動感あふれる異空間へといざなって式は優雅に幕を閉じました。

髙島市長から賞状を授与される受賞者
髙島市長から賞状を授与される受賞者
受賞者へのインタビュー
受賞者へのインタビュー
子どもたちから花束の贈呈
子どもたちから花束の贈呈

秋篠宮殿下のお言葉

address.jpg本日、第26回福岡アジア文化賞の授賞式が開催されるにあたり、受賞される3名の方々に心からお祝いを申し上げます。

また、今回で受賞者が100人を超えたとお聞きし、受賞者の広がりに感慨を深くするとともに、これまで本賞の発展に力を尽くしてこられた関係者に深く敬意を表します。

近年の国際社会におけるグローバル化の進展は、画一的な思考方法や生活様式をもたらした面がありますが、そのいっぽうで、各地の文化の独自性や多様性に対する関心が高まり、その重要性に対する認識を深めてきた側面もあると言えましょう。このようななか、福岡アジア文化賞は、アジアにおける固有で多様な文化を尊重し、その保存と継承に貢献するとともに、新たな文化の創造、さらにアジアに関わる学術研究に寄与することを目的として、それらに功績のあった方々を顕彰する大変意義深いものと考えます。

本日の受賞者も歴代の受賞者同様、文化の多様性に対する理解の促進と、そこから生まれる新しい文化の創造、そして深くアジアの文化や社会についての研究を進めてこられた方々です。未来の発展に貢献する優れた業績は、アジアに限らず、広く世界に向けてその意義を示すとともに、社会全体でこれを共有し、次の世代へと引き継ぐ人類の貴重な財産になることでしょう。

終わりに、受賞される皆様に改めて祝意を表しますとともに、この福岡アジア文化賞を通じて、アジア諸地域に対する理解、そして国際社会の平和と友好が一層促進されていくことを祈念し、私のあいさつといたします。

大賞/タン・ミン・ウー氏による受賞者スピーチ

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秋篠宮同妃両殿下、髙島市長、ご来賓の皆様、ご参会の皆様、今回、大賞を受賞しましたことを大変光栄に思います。

私は今回、初めて福岡を訪問しました。福岡は緑豊かで住みやすい都市であり、躍動した近代的な 都市であるという印象を持っています。福岡から学ぶことは、ヤンゴンの都市計画にも生かすことがで きると思います。

ミャンマーの歴史を振り返ると、 ミャンマーは世界とつながっていた時代には発展を遂げ栄えていました。それはミャンマーが新しい考え方を学び、取り入れようという意欲に溢れていたからです。今、ミャンマーは何十年もの孤立からやっと脱却し、急速に近代化が進んで、いろいろな変化が起きています。この激動の時代に、ミャンマーの伝統、芸術、建造物をしっかり守っていくことが非常に重要になります。ミャンマーの強みは、どこにあるのか。それは単一の伝統、文化でなく、文化の多様性にあることをしっかり認めていくことが大事です。

ミャンマーには多くの人がさまざまな暮らしをし、民族、文化、宗教など、多様性に溢れています。これは祝福すべきことです。偏見の殻を破り、多様性の強みを見出し、そして包含的な21世紀型のアイデンティティを作っていくことがミャンマーのこれからの挑戦です。それができて初めてミャンマーは真に孤立から脱却を果たし、アジアの十字路にあるという立地を活用できるでしょう。

今回、優れた受賞者の方々の仲間に加えていただいたことを大変光栄に思い、また恐縮しています。ありがとうございました。

学術研究賞/ラーマチャンドラ・グハ氏による受賞者スピーチ

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福岡市の皆様、学術研究賞を受賞しましたことを大変名誉に思います。

歴史家は偏った考え方を乗り越えていかないといけません。文献にあたるときは政府が用意した文書だけでなく、新聞や記述書の他、ソーシャルメディアをはじめたくさんのメディアにあたって事実を見なければなりません。そして、他分野の見方から学ぶことが大切であり、愛国心やイデオロギーを乗り越える必要もあります。また、私はインドの歴史家ですが、歴史を公平に見ます。例えばインドネシアを見るときには、インドネシアから見ます。インドネシアの歴史家がジャワ時代やオランダの植民地時代の膨大な歴史書を持っていたことは、私に大きな影響を与えました。

福岡アジア文化賞は国家の枠を越え、アジア全体に貢献した人々を評価するものです。このような栄誉ある賞をいただき、私は家族に感謝しなければなりません。お世話になった方、学校の先生や仲間、歴史研究家にも感謝しなければなりません。

私の著書に素晴らしい訳をつけてくださった佐藤宏先生にも感謝申し上げます。これまでで最も綺麗に訳し、日本の美的感覚で非常に美しい装丁をして下さいました。

ヒンドゥー教の聖典の一つ「バガヴァッド・ギーター」は、個人の義務に物理的な報酬を求めてはいけないといっています。自分がその仕事を愛しているからこそ、その仕事をやっているのだから。この受賞に対し、皆様に深い感謝の意を表します。本当にありがとうございました。

芸術・文化賞/ミン・ハン氏による受賞者スピーチ

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秋篠宮同妃両殿下、ご参会の皆様、福岡アジア文化賞に名を連ねることができ、心から嬉しく存じます。この栄誉は私自身に与えられたものでなく、ベトナムの文化全体に与えられたものだと思っております。

この賞は長い歴史を持ち、威信ある賞です。初めに私からアジア文化の持続的な発展を強固に推し進めていらっしゃる福岡市、福岡アジア文化賞委員会、そして日本に感謝の意を申し上げます。皆さんは26年という長い年月の間、大変努力をして、アジア文化の本質を発展させていくことに力を注いでこられました。

次に、私たちの国のはるか遠く険しい山岳地帯の小さな村々で、簡素な木の枠を使って機を織り、貧しく苦しい生活をしながら住んでいる人々に感謝します。この賞は、彼らが作ってくれた文化に対して大きな価値を与えてくれていると思います。この貢献によって文化というものがすべての人たちの心の扉を開き、日本や福岡でベトナムの人々との交流を生み出していると思います。

私は、もし世界がまっすぐでまっ平らなものになれば、文化というものは一つの民族を決めることになると思います。もしそれぞれの国が、それぞれの国で生まれた文化を理解し、文化を通じて国同士が固く結びつくことができれば、「幸せ」が人類に訪れることでしょう。

私は、このスピーチの最後を次の言葉で締めくくりたいと思います。「文化が世界を救うのだ」と。どうもありがとうございました。

受賞者インタビュー

---まずは、タン・ミン・ウー氏への質問です。民主化について、欧米社会と国内が求めるものは違いますか。
タン・ミン・ウー氏:大きな違いはないと思います。民主主義にはリーダーを選ぶ権利があり、ミャンマーも自由な選挙でリーダーを選びたいと思っています。また、国民は貧しい暮らしをしており、民主化によって経済的に改善することも望んでいます。
---これからのミャンマーは、アジアの中でどんな役割を果たすでしょうか。
タン・ミン・ウー氏:今、ミャンマーは、将来に向けて変化し、歩みはじめました。ミャンマーは貧しく脆弱な国ですので、門戸を開いていかなければ、将来にとって大きな損失になります。地図を見てもらえばわかりますが、アジアをつなぐ位置にあるミャンマーは陸をこえて人をつなぐ役割、架け橋になる役割を持っています。この5年、10年がそれができるかどうかの転換点になると思います
---次にグハ氏へ質問です。ガンディーの思想は、現代のインド社会でどのように生き続けているでしょうか。
グハ氏:インドは言語も宗教も多彩です。ガンディーはそれを包括する形で存在しています。多様性を尊重 する上で、インドはうまくいっていると思います。また彼の業績はインドにとどまらず、世界の市民権運動に影響を与えました。ミャンマーのアウン・サン・スー・チーという傑出した人も彼の影響を受けています。彼を国民に持ったことは恵みでした。
---多様性豊かな国をどうまとめ るのか。方向性は確立されているで しょうか。
グハ氏:1枚の紙幣に17言語が記されているように、多様性の尊重においてインドは成功していると言えます。多言語、多宗教を抱えるEUも今、インドと同じ問題を抱えているでしょう。彼らは、50年も前に挑戦し成功を遂げたインドから学ぶことができます。
---それでは、ミン・ハン氏への質問です。独創的な衣装の特徴やそれらに込められた意味を教えて下さい。
ミン・ハン氏:機織りをしていた女性はベトナムとラオスの国境近くに住む少数民族です。彼女たちは魂から生まれるインスピレーションで織り、木や花など暮らしの中のものを柄にしています。彼女たちは生きる、死ぬというシンプルな人生を送り、それらが図柄になっています。
---伝統について、どう思いますか。
ミン・ハン氏:私にとって、伝統とは新しいことです。古いものから新しいものになるのが伝統です。ある時代の礎になり、その時代の人間が受け入れるということです。若い人が過去のものを好まず、民族の歴史を変えてしまい、それを受け入れないのであれば、将来は見えません。それは自らのルーツを忘れ、自分たち自身を忘れてしまうことになります。私は今後、伝統と近代的なものを融合させていきたい。ファッションは文化です。自分たち固有の文化がなければ、将来はありません。伝統的な価値、文化的な価値を大事にしなければ、将来はないのです。

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特別披露 墨絵とデジタル映像によるパフォーマンス「上昇綺龍~アジアをひとつに~」

最後は、特別披露「上昇綺龍~アジアをひとつに~」と題して、オープニング映像も担当した九州大学大学院芸術工学研究院の学生と、世界的に活躍する墨絵アーティスト西元祐貴氏がコラボレーションした、墨絵とデジタル映像によるパフォーマンスが行われました。2か月以上かけてこのプロジェクトに取り組んできた彼らの情熱と躍動感あふれるパフォーマンスに観客は酔いしれました。

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2015年(第26回)福岡アジア文化賞祝賀会

授賞式に引き続いて、各国・各界の来賓など多数の参加を得て祝賀会を開催。

久保審査委員長が「この祝宴は、福岡とアジア諸地域との長きにわたる交流の蓄積があればこそ実現できたものであり、本日も新しい出会いが生まれ、ご縁が続いていくことを願っております。」と開会を宣言。

その後、在福岡ベトナム総領事のブイ・クオック・タイン氏による乾杯のあいさつで祝宴がスタートし、各受賞者と同伴者を囲んでにぎやかな懇談が広がりました。

ブイ・クオック・タイン在福岡ベトナム総領事による乾杯
ブイ・クオック・タイン在福岡ベトナム総領事による乾杯
談笑する受賞者
アジア・フォーカス映画祭からのゲスト挨拶

福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

福岡アジア文化賞授賞式の様子や各種イベントのレポートを含めた2015年度の事業報告書を、PDF形式でダウンロードいただけます。

2015年福岡アジア文化賞年次報告書ダウンロード

各種イベントレポート

2015年度の授賞式以外のイベントレポートをご覧いただけます。