KOTODAMA(言霊)~受賞者からのメッセージ

単なる文化の違いを、優劣や善悪で捉えてはいけない。宗教も含めて現地の文化慣習を、そのまま受け入れることが鉄則である。

— 中村 哲, 異文化理解, 日本

日本とアジア諸国の架け橋となろうとするすべての人たちへ、あなた方は未来に向けての希望です。あなた方の活動は価値ある貴重なものであり、決して無駄になることはありません。希望を携え、未来に向けてともに歩みましょう。

— テッサ・モーリス=スズキ, オーストラリア, 地域研究

世界で巻き起こっている環境的、政治的、経済的、そして軍事的惨事を乗り越えるには、女性だけでなく男性にも存在する“女性視点”が必要になるはずだ。

— ナリニ・マラニ, インド, 美術

真実の定義は難しい。例えば信仰を持っている人にとって神がいることは真実だが、持たない人にとってはそうではない。だからこそ心をオープンにし、現実とフィクションのボーダーラインを見ることが必要になるのだ。

— アピチャッポン・ウィーラセタクン, タイ, 映画/美術

命、生物、水、知識・・・地球上のすべてが共有財産であり、地球からの贈り物である。

— ヴァンダナ・シヴァ, インド, 環境哲学

勉強すること、教えることは、決して終わることのない物語である。たとえ学校を卒業しても、ずっと学生であり続けなければならない。

— チャーンウィット・カセートシリ, タイ, 政治学/歴史学

他国の文化をコピーするだけでは、世界市民にはなれない。何かを伝えたいと思うときは、自分たちが住んでいる地元の行事、暮らしなど、固有の伝統文化に目を向けることが必要である。

— キドラット・タヒミック, フィリピン, 映画

地球45億年の歴史の記憶は、我々の奥深くに存在している。それぞれの民族が違う音楽や踊りを持っていても、私たちの中にある根源は一つ。深いところで音楽が共通しているのはそのためなのかもしれない。

— クス・ムルティア・パク・ブウォノ, インドネシア, 舞踊

母国語で自国文化を学ぶことの意義を知り、自国の言語や文化にもっと敬意を払うべきである。そうして自分自身をつくり固めれば、そのひとつ、ひとつが国の力となる。

— アン・チュリアン, カンボジア, 民族学/民俗学

東アジア各国の研究者たちと、国境を越えた学問共同体をつくる必要がある。争うよりもひとつになること、異質性よりも同質性をより重視し、東アジア文明の同一性を明らかにすることが最も重要なことである。

— 趙 東 一(チョ・ドンイル), 韓国, 文学

建築を学ぶ際“建築は機能だ”と教わった。しかしながら文化が違えばその機能も違う。窓には、開けるための機能もあるが、象徴・表現としての窓もある。先入観を捨て、様々な文化を学び、理解することが最も大切である。

— ニールズ・グッチョウ, ドイツ, 建築

伝統をそのまま守るだけであれば、それは骨董と同じである。伝統を打ち破ることこそ、真の伝統継承といえる。

— 黄 秉 冀(ファン・ビョンギ), 韓国, 音楽

快適な場所から困難な場所へ行き、大変な思いをすることが人生には必要である。一番困難な時期が、一番成長し、最も試される時期でもある。同じことの繰り返しの毎日ではなく、そこから離れ、快適ではない場所へ行き、新しいことを経験してほしい。

— ジェームズ・C・スコット, アメリカ, 人類学/政治学

アジア各国と良好な関係を築くためには、若い世代の力が必要になる。興味ある地域の文化を知りたければ、実際に現地に足を運ぶことが重要だ。

— 毛里 和子, 日本, 地域研究/政治学

いつの時代も、芸術は社会や政治を映し出す鏡である。芸術と文化が、どのように社会や人類を支え、この冷笑的な時代の理想主義や希望を支え続けてきたかを思い出すことが、今こそ必要である。

— オン・ケンセン, シンガポール, 演劇

“風土”は環境そのものではなく、その土地に住む人間の主体性をも考慮する必要がある。その風土に住む人たちがどう知覚し考えるかを把握できなければ、風土の現実を理解することはできない。

— オギュスタン・ベルク, フランス, 人類学

歴史学は、あまり生産的な仕事ではないかもしれないが、今まで人が発見していない事実に突き当たると、まるで金の鉱脈を掘り当てたようなワクワクした喜びを感じられる。

— パルタ・チャタジー, インド, 政治学/歴史学

日本・アジア・西欧を平等にとらえ、それぞれのアイデンティティーを生かしつつ“共生”し、それを越えた“共楽”を音楽文化の目標において努力することは、ヒマラヤの尾根を縦走するくらい危険でドキドキワクワクするものだ。

— 三木 稔, 日本, 音楽

アートは「自分の思いを人に伝える」ことができます。
問題提起したいとき、アートを通じて「メッセージを送ること」ができます。アートは自分と社会の架け橋になるのです。
アートは「人を助ける」こともできます。オークションで作品を売り、寄付することができるからです。
また、共同でプロジェクトを行うことで、アートは「一つの文化の種をまくこと」もできるのです。

— 蔡 國 強(ツァイ・グォ・チャン), 中国, 美術

事実や知識より、自分の心をとらえるものを大切にしよう。また、それに対して自分の想像力をいかに膨らませることができるかが重要である。

— アン・ホイ, 香港, 映画

繁栄と発展とは、平和がもたらす非常に大きな配当だということを、今の日本の姿は世界に教えています。

— サヴィトリ・グナセーカラ, スリランカ, 法学

多文化共生には、相手のコミュニティーを知り、互いの社会文化を理解し価値観を認め合うことが重要である。文化の多様性は、人々の経験を豊かにするのだから。

— シャムスル・アムリ・バハルディーン, マレーシア, 人類学

、シンプルさというのは、人類愛を現実に表現したものである。人間の完全な自由と幸福は、シンプルでゆったりとした生き方の中にこそある。

— フォリダ・パルビーン, バングラデシュ, 音楽

文化の多様性はいいことづくめではない。しかしそれを守らなければならない理由がある。文化的コミュニケーションは、不安定で、時に不快であるかもしれない。しかしその相互作用を経てこそ、ひとつの社会理念のなかでは解決できない問題にも道が開けるのだ。

— アシシュ・ナンディ, インド, 社会文明評論

私が『地域史』という考え方にたどり着き,その手法に取り組んできたのも,地域の目線で地域の『知』を築くことのできる人材を育てるためであり,それこそグローバル化する世界とうまく渡り合う『地域化』の基本であり,必要な作業だ。

— シーサック・ワンリポードム, タイ, 人類学/考古学

芸術とはすなわち修行である。「ひらめき」は学び始めた人にとって最初は重要かもしれない。しかし、その道を極めた者にとって「ひらめき」は必要ない。

— 朱 銘(ジュウ・ミン), 台湾, 美術

人間はデジタルなものだけを持って生きていくことはできない。自然的なもの、人間的なもの、アナログ的なものがなければ、デジタルも存在し得ない。こんな時代だからこそ、身のうちから突き上げてくる自然なエネルギーを私たちに与えてくれる音楽が必要なのだ。

— 金 徳 洙(キム・ドクス), 韓国, 音楽

文化の源は民の中、農村の中にある。 誰もが自分なりの「民の空間」を持っており、その空間の中で独特の経験をしたことが自分の貴重な拠りどころとなる。
それら独自の経験を活かすことで、他の人とは異なる文学作品を完成させることができる。

— 莫 言(モオ・イエン), 中国, 文学

蔓延する物質主義、技術主義、商業主義、消費主義の弊害から人類を守ってくれるのは、真の人間文化である。文化は人々を近づけ、仲良くさせる最高の手段といえる。真の人間文化を育むためには、グローバル化の時代の中にあっても、様々な文化が独自のものとして保証されなければならない。

— シャグダリン・ビラ, モンゴル, 歴史学

今後、福岡が経済地理的、文化地理的な地位をどのような形でアジアに発信し、また受け止めていくかが期待されている。

— 濱下 武志, 日本, 歴史学

アジアは、活力や色彩、そして文化に満ち溢れた多様な伝統が生き続ける地域であり、この多様性が、地域ごとの思想や文化伝統の相違の源であり、新たな創造性の源でもある。そして何よりも、この多様性こそが、我々が学び、誇りとし、そして守っていくべきものなのだ。

— アクシ・ムフティ, パキスタン, 文化保存/民族学/民俗学

文化は往来しながら、あるものは原形を保ち、あるものはその土地の風土にあうように変遷し、その土地に根を張り成立していく。すなわち、人の往来は文化の往来なのである。

— 任 東 権(イム・ドングォン), 韓国, 民族学/民俗学

すべての人々に対してサービスの精神を持ち、あらゆる事に心を開き、様々な時代の書籍に秘められている人類の価値を守っていくことが、図書館学の使命である。古文献に残された知の歴史を守ることは、自国の文化やアジアの文化を形づくっている各国固有の学問を守ることなのである。
また、知識の管理人として、この世のすべての人々に平穏で寛容な心を、対立ではなく強調の心を育み、お互いが調和して生きてゆけるような道を創り出していくことも求められている。

— トー・カウン, ミャンマー, 図書館学/文化保存

芸術と文化は、全人類に属すものだ。自由に交流が行われ、共有され、楽しまれるものでなければならない。文化は皆で守っていくものであり、誰かの命令を受けて行うものではない。

— ドアンドゥアン・ブンニャウォン, ラオス, 文化保存/文学

我々の貴重な遺産が存続し繁栄し続けるためには、若い世代が、独自の文化、芸術、伝統、価値、道義の保護管理人としての役割を引き受けるという責任を負わなければならない。

— タシ・ノルブ, ブータン, 文化保存/音楽

音楽は、魂の糧であり、命への喜びである。音楽は、生きること、人生そのもの。音楽を通じて、すべての魂と、すべての宗教と、世界のすべてとつながっていると感じることができる。

— アムジャッド・アリ・カーン, インド, 音楽

食べ物、飲み物が人間の日々の食生活の一部であるように、文化も人間の日々の欲求の一部であるべきだ。文化は、人間が達成した最高の進化レベルを示す指標である。進化のプロセスは、すべての人々が「日々の食事」として「文化の喜び」を吸収し、実感できるまで継続されなければならない。

— センブクティ・アーラチラゲ・ローランド・シルワ, スリランカ, 文化保存

文化の栄えた国は、政治も経済も豊かであったことを歴史は教えてくれる。

— 外間 守善, 日本, 地域研究

自分の置かれている環境に問題や葛藤があるとき、そこからアートが生まれる。

— 徐 冰(シュ・ビン), 中国, 美術

西洋の模倣ではなく、自らの文化を主張するオリジナルな音楽を開花せよ。

— ディック・リー, シンガポール, 音楽

映画監督という仕事は、人と人、国と国との文化の交流を促し、通いあわせるものである。新しいことへの挑戦が、新鮮な生命力を与えてくれる。

— 張 芸 謀(チャン・イーモウ), 中国, 映画

スリランカを学ぶということは、スリランカのみを学ぶことではありません。各地域、あるいは全土に及ぶ植民地支配のなかで、政治・経済・文化に多大な力を及ぼした歴史の役割について学ぶことに他なりません。それは即ち、スリランカという島国を超えて広がる視点を得ることができるということです。

— キングスレー・ムトゥムニ・デ・シルワ, スリランカ, 地域研究/歴史学

ボーダーレス化がすすむ今、地球村の市民である我々を、アジア人、オーストラリア人、日本人などと区別すること自体難しい。“アジア人”という言葉すら、すでに時代遅れなのかもしれない。私はこのように、国境が自由自在に交差し、移動する時代に生まれ、文化がこのように変化に富み、混在する場所に身を置くことができることがうれしくてたまらない。

— アンソニー・リード, オーストラリア, 地域研究/歴史学

気がつくとすでに時は過ぎ去ってしまっている。夢があるのならよく考え、それを素早く実行に移すことだ。

— ラット, マレーシア, 大衆文化

もし我々が何かを成し遂げたいと思っていて成し遂げていないとすれば、それを成し遂げようとする思いの強さが不足しているのです。

— ムハマド・ユヌス, バングラデシュ, 経済学

市場・国家・共同体がバランスよく相互の役割分担を果たすことが大切である。市場が競争、国家が強制であるならば、共同体は協力のメカニズムであり、これら3つの要素がそれぞれ補完しあうことでバランスの良い社会を築くことができる。単なる市場任せや政府の介入だけではうまくいかないし、競争のない社会では、時として共同体が腐敗の源泉にもなりうる。

— 速水 佑次郎, 日本, 経済学

私は愛と信念をもって描き続けている。その愛はキャンバスの上に表れている。世界を愛するから、自然にあるもの、形あるものを描く。だから細部の説明は必要ない。

— タワン・ダッチャニー, タイ, 美術

富の減少は、かえって質の高い、より人間的な生活をしていく素晴らしいチャンスになる。

— マリルー・ディアス=アバヤ, フィリピン, 映画

文化的に独自性をもつこととは、何よりもまず人間的な権利と義務をもった人間として独自性をもつことであり、それが人間相互の、また民族相互の関係を真に人間的なものにする。

— プラムディヤ・アナンタ・トゥール, インドネシア, 文学

幸運とは、偶然に降りかかるものではなく、自分で立てた目標や志が、タイミング良く運と相まったものである。知恵や勤勉があって初めて幸運は訪れるのだ。

— タン・トゥン, ミャンマー, 歴史学

アジアには共通点も多々あるが、私にとって一番興味深いのは、アジアがどれほど“違うか”という点である。言語、親族関係、道徳的考え、美的価値観などの大きな相違点や、個々の伝統をより深く理解し称賛するには、お互いを比較することが不可欠なのだ。

— ベネディクト・アンダーソン, アイルランド, 地域研究/政治学

愛は人の振る舞いを豊かにしてくれます。
愛は心を素直にしてくれます。
愛は善意の心や感謝の気持ちを育ててくれます。
愛がなければ誰も生きていくことができません。
愛は永遠です。
愛があるから強くなれます。
愛は芸術であり、芸術は心優しいものです。

— ハムザ・アワン・アマット, マレーシア, 民俗芸能

原点に立ち戻れば、どんな状況でも映画はつくれる。ビデオでも映画は作れるのだ。要は、形式に陥りがちであるのをいかに打破するかだ。

— 侯 孝 賢(ホウ・シャオシェン), 台湾, 映画

人からのアドバイスを謙虚に受け入れる気持ちをもつことが大切だが、みんなと同じことをやろうとするのではなく、少し人と離れたとしても、他人に盲従せず、意志の強さをもって自分自身の道を歩むことがさらに大切である。

— 大林 太良, 日本, 民族学/民俗学

自分の将来に新しいビジョンを描かなければならない。そのためには、自分の過去について新しい見方を持つということが必要である。自分の過去をどう見るかによって、現在と未来を描くことができるからだ。

— ニティ・イヨウシーウォン, タイ, 歴史学

言葉のやりとりのみが意志疎通の手段ではありません。遊ぶこともその一つです。会話は一つの手段であり、さまざまな営みを生み出します。私はそれらの営みを遊びと呼び、その遊びが意志疎通をより完璧なものにしてくれるのです。

— タン・ダウ, シンガポール, 美術

言語は、全ての文化の基礎である。諸民族の文化は、言語の研究なしには解明できない。

— 李 基 文(イ・キムン), 韓国, 言語学

中央を起点とした中央史観(グローバル)かつ、地域に目を向けた地域史観(ローカル)を併せ持つ“グローカル史観”が必要である。

— 上田 正昭, 日本, 歴史学

大事なことは、自分で考え、自分で選択することである。

— R.M.スダルソノ, インドネシア, 舞踊

舞台から観客を笑わせることができますが、
私自身は笑うことはめったにありません。
俳優として、舞台の上で、死んでは生まれ、
生まれては死に、笑っては泣き、泣いては笑い、
幾度も繰り返してきました。現在では、涙も枯れ果てて、
乾ききった笑いしか私には残されていません。

— チェン・ポン, カンボジア, 文化保存/演劇

歴史家の研究は、常に現代に戻って、現代の問題に対して、過去がどのような回答を与えてくれるのかという、いわば過去と現代との対話を紡ぎだすものである。

— ロミラ・ターパル, インド, 歴史学

何がどう役立つかは分からない。自分の興味を持ったものはとにかくやっておこう。そうすれば、それがまた何かの役に立つことがある。

— 樋口 隆康, 日本, 文化保存/考古学

地域ひとつひとつで独自の花が咲くことにより、アジアに美しい花畑ができる。韓国という小さな花を映画の中に表現し、普遍性そして共感を得るような監督になりたい。

— 林 権 澤(イム・グォンテク), 韓国, 映画

歴史学は、あまり生産的な仕事ではないかもしれないが、今まで人が発見していない事実に突き当たると、まるで金の鉱脈を掘り当てたようなワクワクした喜びを感じられる。

— 王 仲 殊(ワン・チョンシュー), 中国, 考古学

自分の野心を追い続け、その分野で才能を開花させることができなかったことについて、今はもう少しの後悔もありません。地球上のどんな職業も、それぞれに所を得て、意義のあるもので、それに愛情と知性をもって向かい合えば、それが自分にとってどういう意味を持っているのかが分かってくるのだと思います。

— ファン・フイ・レ, ベトナム, 歴史学

今後、次世代を育てていくときに必要な人間の理想的なタイプは、これまでのように情熱的で勇往邁進な勇ましいタイプではなく、青白い炎が静かに燃えているような長続きする情熱を持ち、技術を持ち、一芸一能を持ち、そして柔軟な思考を持ちながら粘り強く、異なった文化の人たちと接触していく、そういうタイプの日本人だろうと思う。

— 衞藤 瀋吉, 日本, 国際関係論/歴史学

音楽家の中には、もう一人の音楽家が住んでいます。その心の中の音楽家に対して歌っていると感じるときがあります。歌い手と聞き手が一体化するとき、歌い手の私が自分以外のものに無頓着となり、私が今発している言葉は自分自身に向けられているのだと感じるのです。

— ヌスラット・ファテ・アリー・ハーン, パキスタン, 音楽

学問は、普遍的な人類の価値の理解といった面において、その人の経験を深くかつ広くし、普遍的な人類の価値は存在するという信念を強めてくれる。我々は、その価値に基づいてアジアの相互理解・平和を促進させていかなければならない。

— クンチャラニングラット, インドネシア, 人類学

力を抜くということは、力を入れるということである。達人、名人はそれぞれ、人の目には万事力を抜いているようでありながら、実はきちんと要所を押さえているものである。

— 韓 基 彦(ハン・キオン), 韓国, 教育学

ぶつかり合いは、アジア地域における異文化の間であると同時に、西洋とのぶつかり合いでもある。しかし、そのぶつかり合いから、やがて一つの新しいものが生み出されるのである。文化の創造とは、ネガティブなものをポジティブなものに変えていくことである。

— 辛島 昇, 日本, 地域研究/歴史学

現代音楽は死につつある・・・ポップ音楽だけでは人間の欲望は満たされない。新聞、雑誌は立ったままでも読めるが、哲学や難解な詩は、あえぎながら、立ち止まりながら、やっと目的にたどり着く。即ち、苦しさにあえぎ、乗り越えてはじめて、人間の高級な精神の営みに気付くのだ。難解で娯楽的でない現代音楽の存在理由もそこにある。その音楽とビジュアルを組み合わせると、そこに、難しいが、しかし意味のある作品が生まれると思う。

— ナム・ジュン・パイク, アメリカ, 美術

物を書く際にはすぐに書き留めてはいけない。よく考えよ。そうすれば、たくさんの考えが浮かんでくるものだ。

— スパトラディット・ディッサクン, タイ, 文化保存/歴史学/考古学

それぞれに異なった特有の文化をもつ多くの人々と接することができれば、文化的に豊かな環境から人生について多くを学ぶことができるだろう。自分の国について内であれ、外であれ学ぶことができるのは、興味・ものごとに対する自身の態度・専門的関心を形作る姿勢に大きな影響を与える。

— 王 賡 武(ワン・ガンウー), オーストラリア, 歴史学

研究対象はタイ国ですが、方法論的にせまい枠の中で行うのではなく、その学問が言語学であれ、宗教学であれ、社会学であれ、歴史学であれ、とにかく使える手法はなんでも使って、タイを理解しようというのが私の研究姿勢です。

— 石井 米雄, 日本, 地域研究

20世紀、技術的物質的にはまざましく進歩したが、「人類」は後退したようだ。精神的に必要なものは無視され、どのような国際協定も戦争をくい止めることができずにいる。思想・言動における暴力をなくすためには文化の概念を復活させる必要がある。文化とはすなわち美と真実を通じて価値観を深めることを意味する。美と真実をみつける内なる旅を通じて21世紀にチャレンジしよう。アジアはそのような前進をいつも支持してきた。

— パドマー・スブラマニヤム, インド, 舞踊

私が学問に従事する目的は、民を豊かにすることにある。これは、東アジアにおける学問の伝統である“学以到用”(実用のために学ぶ)という気風を体現している。

— 費 孝 通(フェイ・シャオトン), 中国, 人類学

ホスピタリティはマレーシア人の生き方と同義語である。どの宗教の祝祭をも同じようにお祝いする。互いを訪ねあい,特別のお菓子や食物を味わう。この稀有なまでの歓待ぶりは,私たちマレーシア人が民族的に独自の調和を保ち,わが国の政治経済制度を安定させているからにほかならない。

— ウンク・A・アジズ, マレーシア, 経済学

問題解決の達成は、その果実を得るためだけに必要なのではなく、その達成体験により得られる経験により人間が人間らしく成長できる、そこにこそ意味がある。

— 川喜田 二郎, 日本, 地域研究/民族学/民俗学

広大なアジア大陸の文明は、同じアジアという共通性においてヨーロッパの文明とは異なっています。アジア諸民族には風俗習慣や宗教、音楽や絵画、建築、民族衣装の点で、互いに大きな影響を与えています。

— ナムジリン・ノロゥバンザト, モンゴル, 音楽

文化というものは大きな川の水のように、方々のいろいろな水が混ざり集まって出来上がるものである。

— 金 元 龍(キム・ウォンヨン), 韓国, 歴史学/美術/考古学

違うということは、必ずしも対抗とか敵意とかを意味するわけではありません。
不快に思ったり、拭い去ろうとすべきものでもありません。
それはむしろ賞賛され、さらに深められるべきものなのです。

— クリフォード・ギアツ, アメリカ, 人類学/地域研究

対立するよりも調和を重んじ、相手も自分も温かく包んでいこうとするのが、アジア世界の心でありましょう。

— 竹内 實, 日本, 地域研究

あらゆる芸術が時を経て洗練を繰り返すように、社会の概念もまた、時代の変化とともに再定義を繰り返すものです。壮麗豪華さが美とされる時代のあとには、機能的で質素であることが美とされる時代が来るように。いかにその時代の文化的概念を把握することができるか、それが重要だ。

— レアンドロ・V・ロクシン, フィリピン, 建築

人は、その人のなす行為、経験によって人となりが表され、その天性のもの、天賦の才能は、長所・短所によって増幅されていく。

— ラヴィ・シャンカール, インド, 音楽

歴史とは、イデオロギー化されるものでも、また標榜すべきものでもありません。あるがままに受けとめ、現在そして未来への教訓とすべきものです。私が本当に大切に思うのは、現在と未来なのです。

— タウフィック・アブドゥラ, インドネシア, 歴史学

アジアをひとつのまとまりとして考える見方には組しない。こんなに多様性のある、そして質的にも異なる要素の存在する複雑なアジアの諸社会を、ひとからげにすることは、アジアの理解をむしろ妨げる結果となるからだ。

— 中根 千枝, 日本, 人類学

国際化という流行語は、特に表面的な意味に用いられていますが、それは世界の各々の文化遺産を自由に相互に交流させていくための歓迎すべき第一歩を標しているのです。

— ドナルド・キーン, アメリカ, 文学/民俗芸能

私にとってのアナーキズムは、民衆の解放であり、自由・平等・博愛であり、ひいては、人類愛や人道主義といった普遍性の追求である。(贈賞理由より)

— 巴 金(バ・ジン), 中国, 文学

黒澤明というのは、映画しか撮れない男であります。(代理スピーチより)

— 黒澤 明, 日本, 映画

東洋のことを西洋の人々に伝えるという役目が福岡アジア文化賞にはあると思います。

— ジョゼフ・ニーダム, イギリス, その他/歴史学

どの国の文化でも、それを保存するということは、その国の人の心の中に保存するということである。人の心に新しいものを取り入れるときには、古い風景、あるいは文化や信仰といった旧い価値なしでは、幸福や満足にはつながらない。

— ククリット・プラモート, タイ, その他/文学

日本がアジア世界から生まれたという厳粛な事実を認識し、深めること。そしてアジア世界を特徴づけている歴史的由緒と現実的苦悩との落差について、深い理解と共感とを持つこと。急速な経済発展に伴って都市化の問題や環境破壊の問題など、今のアジアの現実を直視すること。国家の尊厳を支えるのは経済的営利ではなく、むしろ豊かな文化や人間性と社会的エトスであると考えること。“アジアとともに生きる”ということが言葉の上だけで語られる時代は、もう終わりにしなくてはならない。

— 矢野 暢, 日本, 地域研究

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