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ヴァンダナ・シヴァさん基調講演(@インド記者会見)

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7月23日にインド・デリーにて開催された、ヴァンダナ・シヴァさんの現地記者会見の基調講演をまとめました(以下、事務局抄訳)。

  • 開催地/インド、デリー
  • 開催日/7月23日(月)
  • 会 場/ハビタットセンター

 

ヴァンダナ・シヴァさん基調講演

現在、世界は、生態系にとってだけでなく、社会経済の観点からも危機の道に向かおうとしています。

地球の安定こそが、人間生活の安定に繋がります。しかし世界は今、気候変動、生物多様性の喪失、種の危機などに直面しています。

モノカルチャー(単一化・画一化による大規模農法)が、種子の多様性を失わせ、農業の産業化、農薬の大規模利用による水質汚染が、河や海を危機にさらしているのです。

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モノカルチャーに対抗するため、ナヴダニヤでは有機農法を推し進めています。有機農法では、世界の飢餓は救えないという人もいますが、その収穫量は年々増えています。

かつては、それぞれの気候にあわせた、その土地固有の種子を育てていましたが、現在は、遺伝子組み換えにより特定の種子だけで大規模栽培を行なおうとしています。

しかし、モノカルチャーのために遺伝子組み換えされた種子は、気候変動に弱く、不作になった場合は、より深刻な飢饉を引き起こすでしょう。

土着の多様な種子は、それぞれの気候に適合しているだけでなく、栄養価も非常に高いという利点もあります。実際にナヴダニヤで栽培される穀物は、はるかに栄養価が高いのです。

繰り返しますが、モノカルチャーでは、飢饉も飢餓も救えないのです。

 

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温室効果ガスの削減を、各国が約束したにもかかわらず、なかなか実現されていません。国際的な食品安全基準による食品のパッケージ販売も、ゴミを増やすだけでしかありません。

南アフリカの人種差別アパルトヘイトはなくなりましたが、環境アパルトヘイトが進んでいるのではないでしょうか。

EcologyもEconomyもギリシャ語のOikosという同じ言葉を語源としていますが、今やEcologyは貪欲な経済のために搾取されているのです。

貪欲な経済がいろいろな弊害を生んでいます。大規模農法で農薬を多量に使い、大量に生産し、儲けようと思うからおかしなことになるのです。

大手の化学企業が作り出した農薬により土壌が汚染され、耐用性のある種子が遺伝子組み換えで作られています。

インドでも、大企業の特許取得により、自由であるはずの種子の利用が制限されています。種子の購入費用に加え、種子と併せて販売される農薬の購入により借金まみれとなった農民たちの多くが自殺に追い込まれているのです。これは、まさにジェノサイド(集団殺害)ではないでしょうか?

栽培する種子を限定し、大量生産しようとする考えは、食の安全保障に対する誤った幻想でしかないのです。新しく構築されたこのシステムは、人のためではなく、貪欲な経済のためのシステムに他なりません。

 

 

先月ブラジルで開催された、『リオ+20サミット』で、生物多様性条約について話し合われましたが、結果は各国の思惑が交錯するだけで、幻想に終わりました。

グリーンエコノミーは企業主体ではなく、生命維持のための経済であるべきです。自然資本を商品化してはなりません。

川や森は共有地として価値があるもので、価格で測るものではありません。

地球市民として、水、大気、土壌の恩恵を平等に受けるべきです。

それこそがアースデモクラシーなのです。

 


 

最後に、インドの詩人・思想家であるタゴールが日本について述べた言葉を紹介されました。印象的な言葉だったのでご紹介します。

“日本には自然を征服するといった誤った論理とは別の道を自らの中に持っている。

自然と共に、愛情深い精神的な関係を築き上げてきた。日本の持つ一体感は組織的なものではなく、広大な時の中で家族や恩義などの感情の中で育ってきた。

“Maitri(愛)”の理想が、文化の根底にあり、人類と自然の間に“Maitri”の精神が存在する。”

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