ロミラ・ターパル/ 1997年(第8回)学術研究賞

画像:ロミラ・ターパル/ 1997年(第8回)学術研究賞

私の名前が福岡アジア文化賞の候補者として挙がっていることを知らなかった私は、福岡アジア文化賞の受賞の知らせは驚きであり、また、選ばれたことに心から感謝したことを覚えています。当時、私は古代インドの歴史的伝統についての研究を行っており、受賞のタイミングは重要な時期となりました。

当時、私は、古代インドの歴史的伝統の中で、過去に使用されていた文字に関する疑問や、過去に対する見方が何世紀にもわたってどのように変化してきたかということに研究の焦点を当てていました。それはまた、歴史的な執筆にそれらが執筆された時代の社会的・知的関心がどの程度反映されているかを評価することでもありました。
古代インド人には歴史感覚が欠けていたと言われていました。この説に反論するために私は研究を続けました。すべての社会には歴史感覚があり、過去を表現したいと考えているが、この表現の明瞭さは多様な形をとる、というのが私の論点でした。
 
福岡アジア文化賞の重要な点は、文化の世界に関わる学者、芸術家などのアジアでの活動を評価していることです。アジアの文化に焦点を当てることは素晴らしいことです。もしそうでなければ、学者や芸術家たちはそれ程重要ではないかもしれないことに流れていってしまいます。

福岡市民の皆様が福岡アジア文化賞を一緒に創り上げていることは、最も印象的であり素晴らしいことです。福岡市民の皆様がこの福岡アジア文化賞を更に発展させていかれることを心よりお祈り申し上げます。 
 

 

 

 

 

 

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