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アユタヤ史研究の革新者~新境地を拓いたアユタヤ史研究とは

タイおよび東南アジアを代表する歴史学者であるチャーンウィット・カセートシリさん。タイの歴史、とりわけアユタヤ史において著しい成果を挙げてきた、アユタヤ史研究の大家です。

チャーンウィットさんが、一躍脚光を浴びることとなったのが、アメリカのコーネル大学で博士論文として執筆した名著『The Rise of Ayudahya / アユタヤの興隆』

cam_kasetsiri_13.jpgそれまで、タイ歴史学界のなかでアユタヤ史といえば、“アユタヤ王朝史”を意味するのが常識でしたが、チャーンウィットさんは、その概念を打破。

“タムナーン”という視点を取り入れ、広く東南アジア史のなかに、国際都市アユタヤを位置づけるという新しい歴史像を提示します。

それは、タイ歴史研究の新境地を切り拓く画期的なものでした。

アユタヤ王朝の台頭とその基礎作りを描いた『The Rise of Ayudhaya / アユタヤの興隆』を皮切りに、これまでになかった新しい角度からのアユタヤ史観を次々と発表。

それらの成果をもとに、2003年には集大成ともいえる『アユタヤ / Discovering Ayutthaya』を刊行します。

タイの学者を動員し編纂されたこの本は、アユタヤ王国の歴史、政治経済、文化などの一般的な叙述に加え、河川・運河、名所旧跡と文化施設、更には一般庶民のくらしにまで及ぶすべてを多角的に紹介。多数の図版や写真を掲載した、魅力あふれるアユタヤ史の紹介本になっています。

日本とタイの修交120周年を迎えるのを機に、2007年には日本語版と英語版も出版。世界中の人々に読まれています。

世界遺産、古代都市アユタヤ

ayuthaya.jpgチャオプラヤー川とその支流に囲まれた中州に位置するアユタヤは、タイの首都バンコクから北へ約76kmにある、美しい古代都市です。

1351年にウートーン王によってアユタヤ王朝が開かれてから、1767年にビルマ軍の攻撃により破壊されるまでの417年間、アユタヤ王朝の都としてタイの中心であり続けました。

その地形から水路に恵まれたアユタヤは、17世紀はじめにはヨーロッパと東アジアを結ぶ国際貿易都市として繁栄。“東洋のベニス”として栄華を極めます。

その都市計画や中央集権制、国際貿易振興といった近代国家の基盤は、その後のバンコク王朝の礎にもなりました。

奇跡的に数々の戦火を逃れた寺院や宮殿、朽ち果てた仏像などの遺跡が、1991年にユネスコ世界文化遺産として登録。現代に当時の姿をつたえる遺跡群は歴史公園として整備され、今や世界中から観光客が押し寄せる一大観光名所となっています。

The Rise of Ayudhaya / アユタヤの興隆

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タイの伝統的歴史書には、「タムナーン」と「ポンサーワダーン」というふたつの異なった記述方法があります。どちらも歴史書ではありますが、前者が仏教史を軸に展開されるのに対し、後者は王朝の歴史に重きをおいて綴られるという違いがあります。

これまでは、アユタヤ史=ポンサーワダーン(王朝史)であったのに対し、チャーンウィットさんは、その著書『The Rise of Ayudhya』にて、「タムナーン」と「ポンサーワダーン」両方の資料を駆使し、アユタヤ王朝誕生の歴史研究として新しい分野を開拓。一躍その名を世界に知らしめました。

「タムナーン」
ブッダによって始められた仏教が、スリランカからビルマに渡り、さらにタイへと伝えられ、歴代国王の保護のもとに繁栄する歴史が綴られている歴史書。たとえ国王の治績や戦争が語られるとしても、それは仏教史を彩る背景にすぎず、主たるモチーフはあくまでも仏教になっているのが特徴。
「ポンサーワダーン」
王都の建設から始まる歴代の王の治績を、編年体にて綴った王朝の歴史書。もちろん、寺院の建立など仏教関係の記事もありますが、その目的は国王の崇仏行為を通して王権の正統性を主張することで、力点はあくまでも王権の側におかれています。

アユタヤ / Discovering Ayutthaya

アユタヤ / Discovering Ayutthaya

アユタヤ王国の一般的な叙述から始まり、河川と運河、名所旧跡と文化施設、アユタヤに住んだ多様な民族、貴族王族、外国の要人、西洋の地図に描かれたアユタヤ、身分制度、通貨、民俗風習に至るまで、色鮮やかなアユタヤ文化を多角的に紹介。カラー写真・イラストも多数使用されています。

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「ポンサーワダーン」(王朝年代記)についての一考察
石井米雄/東南アジア研究22巻1号1984年6月より
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/56159/1/KJ00000131137.pdf