トークイベント/ヴォ・チョン・ギア氏「躍動する東南アジアの建築シーン」
開催日時
2025年9月15日(月・祝)13:30~15:30
会場等
福岡市美術館 ミュージアムホール(中央区大濠公園)(外部リンク)
登壇者
ヴォ・チョン・ギア(芸術・文化賞受賞者)
登壇者
西村幸夫(國學院大學観光まちづくり学部長)
登壇者
岩元真明(九州大学芸術工学研究院 准教授)

第1部 基調講演

 ベトナムで生まれ、東京大学などで建築を学んだ後、2006年にホーチミンで建築設計事務所を設立したギア氏。急速な都市化が進むベトナムにおいて、地域や環境に合った緑を取り入れることで遮熱や換気を高める建築や、竹や木を用いたユニークな建築を生み出し、数々の賞に輝いています。

 ギア氏は、ベトナムでは発展による人口増加に伴い、環境汚染やメンタルヘルスが問題になっていると指摘。自身が手掛けた建築作品の写真や図面を示しつつ、それぞれの背景や構造、工夫した点などを解説しました。緑化による遮光や遮熱、中庭や通気孔による通風を取り入れた建築は、地球にも人にも優しいという利点があります。個人宅の案件では「うつ病を和らげたい」「子どもがゲームばかりして困る」といった悩みに寄り添い、建築の力でいかに解決を図ったかを話しました。

 また、自らがメンタルヘルスのために毎日行う瞑想を紹介。雑念が消え、仕事の能率が格段に上がったと述べ、ギア氏のガイドにより観客全員で数分間、瞑想を行いました。

第2部 クロストーク

 2011年から4年間、ギア氏の事務所で仕事のパートナーとして一緒に働いた岩元氏。建築基準法が異なる日本では、竹建築にどのような可能性があるかとの問いを投げかけました。ギア氏は、自身が学生時代に初めて関わった木造ビルを例示し、日本の高い技術力を生かせば、木と竹のハイブリッドで美しい建築ができるのではないかと期待を語りました。

 次に西村氏が、日本で建築の教育を受けたことが、自身の建築哲学にどのような影響を与えたかと質問しました。ギア氏は、日本にはプリツカー賞を受賞するような世界トップレベルの建築家がいて、ベトナムに近い素材や気候をはじめ、文化やディテールまでよく学べたと回答。さらに、師事した内藤廣氏に厳しい指導を受け、期せずして修士論文のテーマを「通風」にしたことが今の仕事にもつながっていると振り返りました。また、竹を取り入れたきっかけについて、ベトナムで事務所を立ち上げたばかりの頃、仕事がまだ多忙でなく時間に余裕があったため、安価な竹に注目して使ってみたところ面白いものができたと明かしました。

 この他にも、日本とベトナムの働き方の違い、瞑想の活用法などにも言及。会場から次々と質問があがり、ギア氏の率直で、ときにユーモアを交えた話に、終始楽しい雰囲気のトークとなりました。

西村 幸夫氏
岩元 真明氏