2005年(第16回)芸術・文化賞受賞者 ドアンドゥアン・ブンニャウォン氏 歴代受賞者学術交流事業
開催日時
2025年11月3日(月・祝)13:00~15:00
会場等
JR博多シティ 10F大会議室
主催
九州大学アジア・オセアニア研究教育機構、福岡市、(公財)福岡よかトピア国際交流財団

ラオスの織物に宿る神話~ナーガ文様の意味と未来

 ラオスの古典文学と伝統織物を研究し、その保存と普及に大きく貢献してきたドアンドゥアン・ブンニャウォン氏。冒頭、ラオスの伝統織物に繰り返し登場するナーガ(龍神)文様が2023年にユネスコの無形文化遺産として登録されたことに触れ、「ラオスにとって大変光栄です」と笑顔で述べました。

 ドアンドゥアン氏は、まずラオスにおける織物の歴史と多様な織り技法について説明しました。ラオスは長期的な戦争や植民地支配などに直面してきたものの、少なくとも3000年前からさまざまな民族がいくつもの織り技法を受け継ぎ、多様な文様を布に織り込んできました。家庭内で祖母から母、娘ヘと受け継がれてきた技法や文様の意味について、1970年代に研究と技術教育が始まりました。ドアンドゥアン氏も研究に携わり、1995年に本を出版。織物は女性に収入をもたらしてきたこと、近年は国際機関の支援による技術教育プロジェクトが実施されていることなどにも言及しました。

 次に、伝統織物の文様について、詳しく解説しました。ナーガは巨大な龍や蛇の形をした神聖な存在で、ラオスでは古くから数十種類ものナーガが織り込まれてきたとのこと。また、織物の文様は、動物や植物、太陽や星といった自然、寺院や飛行機など人が作ったものや、カエル人間など民話や信仰から想像したものなど多岐にわたります。「文字の読み書きができない女性でも、布に文様を織り込む能力を発揮してきた」と話しました。

 さらに、ナーガに関するいろいろな伝説や民話を紹介。「ナーガ文様の布」をテーマにした踊りとドアンドゥアン氏が作詞した民謡の上映もありました。会場には様々な模様の織物が展示され、一点一点丁寧に説明。来場者は終始熱心に耳を傾け、講演後には会場から次々と質問があがりました。ラオスの織物において、とりわけナーガは女性の織り手たちが創造性豊かに生み出してきた特別な文様であり、未来へと継承されるべき大切な文化遺産であることを深く理解できる時間となりました。