張 律(チャン・リュル)
開催日時
2023年9月14日(木)13:30~15:00
会場等
九州産業大学

 映像関係を専攻する学生に向けて、「映画制作のエッセンス」をテーマに開催された講演会。同大学の教授・黒岩俊哉氏の質問に、張氏が応える対談形式で進められました。はじめに黒岩氏が、「監督の映画には独自のスタイルがあり、時間や場所が幻想的に交錯する芸術性の高い作品」と紹介し、張氏の世界観をひもといていきました。

 作品づくりで重視していることについて、「ありふれた日常生活の中で、愛や感動が生まれることがある。創作者として、記憶に刻まれる出来事をしっかり捉え、心が動いた瞬間をつなげていきたい」と話した張氏。さらに、「他界した人も記憶の中に存在している」と言い、生と死は一体となっている考えや、「記憶」によって時間や場所がつながっている感覚について持論を展開しました。また、物事を観察する際、様々な角度や距離からカメラで撮影するように、自分の中に異なる「視線」を持ち、多角的に捉える大切さを語りました。「映像の美とは?」という問いには、「作られるものではなく、発見するもの。目と感情を使ってたどり着く」という見方を示しました。

 最後に参加者から、創作の表現方法や作品内容に関する質問が寄せられ、張氏から説明がありました。総括として、黒岩氏が「境界を超え続ける映画」と張氏の作品を表現。張氏が「東アジア映画」と呼ばれる新ジャンルを確立したことに触れ、既存の枠組みを超越した創造力と芸術性を称えました。