大きく
小さく

文字サイズ:

1997年(第8回)学術研究賞受賞/樋口 隆康

樋口 隆康顔写真
1997年(第8回)学術研究賞
樋口 隆康
HIGUCHI Takayasu
考古学者(奈良県立橿原考古学研究所所長・京都大学名誉教授)
【日本/文化保存、考古学】
1919年06月01日生(78歳)

日本を代表する国際派考古学者。フィールドワークと事実を重視する一方、斬新で独創的な見解を常に提示し、国内外の学術調査に奔走するなど、シルクロード・中国・古代日中交流史考古学的研究の発展に大きく貢献した。

※肩書き・年齢・経歴・贈賞理由などは受賞当時のものです
※逝去
【贈賞理由】

樋口隆康氏は、シルクロード・中国・古代日中交流史などの考古学的研究において、現代日本を代表する数少ない国際派考古学者の一人である。同氏は、幅広く、常に先進的・行動的な数多くの調査と優れた研究業績によって、国際的にも高い評価を受けている。

樋口氏は、学生時代から日本列島の古墳文化の調査や研究に従事する一方で、中国大陸や中央アジアの考古学へと関心を広げていった。中国考古学の分野では、古銅器や古鏡の研究に情熱を傾注し、多くの先駆的で独創的な研究を残してきた。またシルクロード研究のため、インドから中央アジア・西アジアまで、たびたび現地調査に参加し、特に、1970年以後は京都大学中央アジア学術調査隊長として、パキスタンのガンダーラ地方やアフガニスタンのバーミヤンの仏教遺跡調査を実施して、数々の重要な学術成果をもたらした。そして現在もなお、シルクロード学研究センターの初代所長として、シリアの古代交易都市パルミラの発掘調査の陣頭指揮を取っている。

さらに、日本と中国の古代交流史についても造詣の深さを示し、稲作・銅鏡・馬具・仏教などの諸分野における的確な問題提起を続けてきた。最近では三角縁神獣鏡を邪馬台国の女王卑弥呼に魏王朝から下賜された鏡とする「魏鏡説」、ひいては「邪馬台国近畿説」を主張している。このような樋口氏の調査・研究の業績は実に多岐にわたるが、一貫してフィールドワークと考古学的事実を重視しながら、常に自由な発想に基づいた斬新かつ独創的な所説を提示し、国際会議等を通じてアジア諸地域の考古学・古代史学界に少なからず影響を与えてきた。

樋口氏はまた、奈良県立橿原考古学研究所所長や京都府埋蔵文化財調査研究センター理事長として日本考古学の調査・研究と文化財保護に携わる一方、カンボジアのアンコール遺跡の修復やアフガニスタンの仏教遺跡を戦禍から守る運動など、世界的な文化遺産の保全にも積極的な支援を惜しまない。

このように、樋口隆康氏の、シルクロードや中国の考古学研究の深化はもとより、古代日中交流史の解明にも先導的な役割を果たしてきた功績は多大であり、まさしく「福岡アジア文化賞-学術研究賞・国内部門」にふさわしいものといえる。

樋口 隆康による市民フォーラムのご案内

タイトル
パルミラから鴻臚館へ~シルクロードの風~
開催日時
9月26日(金)13:30~16:30
会場
アクロス福岡イベントホール
パネリスト
泉 拓良 (奈良大学文学部教授)
パネリスト
宮下 佐江子 (古代オリエント博物館研究員)
コーディネーター
西谷 正 (九州大学文学部教授)

シルクロード・中国・古代日中交流史などの考古学的研究において、現代日本を代表する数少ない国際派考古学者の一人、樋口隆康氏による市民フォーラムが9月26日、アクロス福岡で行われた。

関連記事

2012-04-25
樋口隆康氏のガンダーラ美術コレクション、特別展示中