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2008年(第19回)福岡アジア文化賞 芸術・文化賞 受賞者のフォリダ・パルビーン氏が、9月13日に逝去されました。

バングラデシュを代表する歌手であるフォリダ・パルビーン氏。バングラデシュ西部ナトール生まれで、幼少期からインド古典音楽を学び、13歳でラジオ局の歌手として活動を開始。ベンガル地方の伝統的な宗教歌謡「バウル・ソング」に魅了され、特にラロン・フォキルの歌を収集・分類し、芸術的価値を高めました。ラジシャヒ大学でベンガル文学を学びながら、愛国歌や独立戦争の歌も歌い、全国的な人気を築きます。テレビ・映画でも活躍し、エクシェイ・パドック賞(1987)、国民映画賞(1993)を受賞。さらに、日本公演(2002)をはじめ、フランス、アメリカなど国際的にもバウル・ソングを紹介し、ユネスコ無形文化遺産への認定にも貢献しました。

授賞式では、「人間の完全な自由と幸福は、シンプルでゆったりとした生き方の中にある。戦争や衝突が増えつつあるこの世界で、ラロン・ソングを通して人々にメッセージと人類愛を伝えていきたい」と述べました。また、日本とバングラデシュは地理的には大きな隔たりがあるものの、双方の人生哲学には「シンプルさ(簡素さ・素朴さ)」という共通点があることも語られました。

さらに、「ユネスコ無形文化遺産『バウル・ソングの夕べ』」では、氏の圧倒的な歌唱力とハルモニウムの柔らかな音色に、メンバー4名による伝統楽器のリズムが加わり、参加者を魅了しました。学校訪問では、福岡市立板付中学校を訪れ、バウル・ソングの演奏や伝統楽器について紹介され、「生徒たちが熱心に耳を傾けてくれたおかげで、とても気持ちよく歌うことができ、楽しい経験となった」と感想を述べられました。

フォリダ・パルヴィーン氏が残した数々のご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 

福岡アジア文化賞委員会事務局