2010年(第21回)福岡アジア文化賞学術研究賞受賞者のジェームズ・C・スコット氏が、7月19日に逝去されました。
政治学者・人類学者であるジェームズ・C・スコット氏は、東南アジアの農民と社会の深い洞察に基づく研究を発展させ、近現代世界における国家の支配と、それに反発し抵抗する人々のダイナミックな関係を明らかにしました。その知見は、アジアという地域を超え政治学の領域を超えて、「モラル・エコノミー論争」と呼ばれるような、学際的議論を呼びおこしました。
授賞式では、氏がこれまで、エリート層以外の人々の価値観、行動様式、市民生活を理解し、民衆の生存と名誉を守るための抵抗の形態を明らかにしようと務めてきたこと、またビルマ(ミャンマー)において、圧政的な軍事政権下で暮らす人々が生活機会を打ち砕かれ、自分たちの名誉を奪われている苦難の現状を語りました。
ジェームズ・C・スコット氏が残した数々のご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
福岡アジア文化賞委員会事務局